非常に未来のない話と進むべき方向性

Learn More
非常に未来のない話と進むべき方向性

非常に未来のない話と進むべき方向性 

たまには、つまらないコラムでも書きましょう。

最近、製作の中で色々話を聞いていく中で「志」はあれど、客観的に状況を見切れていない人が多いと思う事象が自分の周りで起きているのでそれを書き留めるということも含めて未来の無い話をしようと思います。

今回も非常につまらない内容かと思いますので、一部の強者のみ理解したり行動に移せばいいと思います。

日本のクリエイティブは終わっている


これは中から見ている人はなんとなくわかっているけど、決してそうは思いたくないし、実際には新たな隙間産業も生まれているので、そんなことはない、と思っている人はたくさんいると思います。

ただし、その隙間産業ってこと「クリエイティブ」ですか?

というお話をしたいと思います。

これは僕が言っていることではなく、ある方々の意見を聞いて確かにそうだな、実際のデータを見て素人でも明らかにいい未来が見えないのは明らかだなって話をします。そして、それはもう回避不可能な自体にまで陥っているのは間違いないな、というところまで来ています。

パイが狭い


日本の音楽産業は北米の大体 1/6 程度の規模です。これは CD が最も売れていた 1998 年あたりの規模から割合としてはほとんど変化していません。音楽産業のピーク時に 6,000 億円ほどあった日本市場規模に対して北米は今のレートで 4.1 兆円 (約 276 億ドル) ほどでした。

為替により大体 1/5 〜 1/7 に振れます。

上記はフィジカルのみの計算で、資料により若干集計方法が違うためまちまちになりますが、2021 年の音楽売上のみの数値を利用すると日本が 約 2,831 億円なのに対して北米は 1.85 兆円ほど (約 124 億ドル)。為替の影響がありますが、大体推移はこんな感じです。

割合的には 1/6 をキープしているような数値で、かなり検討しているように見えますが、構造がかなりやばいのです。

出典: https://www.riaa.com/wp-content/uploads/2022/03/2021-Year-End-Music-Industry-Revenue-Report.pdf

北米の楽曲のみの売上の割合です。ストリーミングが 8 割以上を締めておりダウンロード販売やフィジカルの売上は 15 % ほどに。1.85 兆円の 11% のフィジカルなので、2,035 億円くらい売上があるんですが、以下の日本の売上割合を比較に出しましょう。

出典: https://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2022.pdf

これは 2021 年のデータですが、

  • 2,831 億円の 68.4 %「フィジカル」が 1,936 億円
  • 2,831 億円の 31.6 % 「ストリーミング + α 」が 895 億円

という構造です。

北米の 1/6 もしくはそれ以下しかない市場規模の中で「フィジカル」の売上が北米に肉薄する結果が出ています。

今のところ音楽産業は

  1. 北米
  2. 日本
  3. イギリス
  4. ドイツ

というような市場規模関係ですが、日本だけ決定的な違いもあります。

それは日本だけフィジカルに依存しているということです。

引用: https://www.earlyteches.com/wp-content/uploads/2021/06/389C9520-E172-43B0-A23E-156365A70839-2048×1152.jpeg
引用: https://www.earlyteches.com/wp-content/uploads/2021/06/EC38AD74-D82F-4CA3-A175-DA34ABAE9060-2048×1152.jpeg

完全に日本だけ市場の規模構造が反転しています。

これからどんどん、この逆転現象が起きるため、現在、まだまだ日本のストリーミングの売上は少ないかもしれませんが「サブスク氏ね」とか「ストリーミングで食えない」などというのはちょっと視野が狭いというか、あまり賢いアーティストではないと思えてしまいます。

ストリーミングの売上も年々 約 10% ほど成長しています。しかし、フィジカルの減少しています。つまりストリーミングのパイを増やさなくてはいけませんが、これが伸びるのか? といわれると非常に懐疑的にならざる負えない、いくつかの問題があります。

まず、ストリーミングの売上が上位ではないこと。つまりここから成長しても他国が抜いていく可能性の方が圧倒的に考えられる資料であり、フィジカルは緩やかに減るので、市場規模の縮小はもはや逃れられない傾向であること。

日本でしか聞かれていない資料が後述されますが、日本のパイをすべて拾いきった場合、現状日本の音楽が全体のストリーミング量とくらべて少ないので、頭打ちになること。グローバルな視聴展開が無いと市場規模の拡大がほぼ無理であろうということ。


問題の予測


タイトル「SDGs」という壁が立ちはだかります。

CD を作ること自体、環境に良くないよね、的な運動が急激に加速したら「日本のフィジカル」は終わります。今のところ、エコノミスト含め、大きな運動に発展していませんが、今の年平均 -5% の緩やかな衰退が一気に加速する恐れがあります。


フィジカルの値段の「急騰」が起きる可能性

今の所、日本ではフィジカルが売れているように見えていますが、CD の価格はシングル、アルバム、ベストなどなどまちまちですが、値段が高かったんです。アルバムとか大体 3,000 円ですよね。

ちなみにアメリカのフィジカルは割と安めでした。最近は物価高騰や円安の影響で大差なくなってきましたが、数年前まではアルバム 9.99 ドルとか普通でした。もちろん違うアーティストもいましたけど。

このように「フィジカル」もいつ国内価格が暴落するかわかりません。今の所ほとんどありえない傾向ではありますが、世代の壁によって急激なフィジカルの減少に拍車がかかる可能性はあります。ただ、まだ買い支えるファン層が厚いのが救いです。


異常な組織的な買い支え

もちろん他国でも無い、とは言えません。ただ、グローバルな世界を見たときの危うさがあります。

出典: https://www.ifpi.org/resources/

2021 年のグローバルチャートです。

ここに、1 アーティストだけ日本のアーティストがランクインしています。

Album Sales Chart に Snow Man の「Snow Mania S1」がチャートインしています。

これの何が問題なのでしょう。

  • グローバルチャートでは 105 万枚 というセールスバリュー
  • 日本チャートでは 93.4 万枚 というセールスバリュー
  • その他のカントリーでは 11.6 万枚というセールスバリュー

日本のアーティストがあまりにもグローバルな売上が少ないということ。

逆に「ADELE」はトータル 468 万枚と出ていますが、日本でのセールスランキングのデータには乗ってませんでした。ちなみに BTS の「THE BEST」は 152 万枚と出ていますが、国内の売上枚数は 103.6 万枚 となっており、日本以外では 48.4 万枚となり、非常にグローバルアーティストと呼んでいいのか懐疑的な数値になります。すごいですね、2/3 以上も日本でセールス上げてて。

実際チャートのほとんどがアメリカ出身アーティストですが「ADELE」や「Ed Sheeran」「Dua Lipa」はイギリスで「The Weeknd」はカナダであり「The Kid Laroi」はオーストラリアで「ABBA」はスウェーデン。「BTS」「SEVENTEEN」は韓国ですね。アメリカ以外の国の規模は基本小さいのですが、上位に食い込むアーティストが多いですねよ。そして全部英詩の歌を歌ってますよね。

もちろん、世の中には「PSY」とか「坂本九」とか、母国語でビルボード 1 位になる化け物アーティストもいますけど、基本英語ですよね。Snow Man の曲も少し聞いてきましたが、全部ハイブリットな歌詞でした。

つまり、日本のアーティストは人口が減る日本ではもうフィジカル買い支えは時間の問題で、世界に通用するアーティストを勝負していかなくてはいけません。そしてストリーミングの再生数は聞いてもらえないと稼げません。現状は内需だけでなんとか成長していますが、現状キープだと下降線を辿る、暗い未来しか見えません。

ストリーミングは人口減少する日本のパイが頭打ちになります。人口減ということでフィジカルの売上減少は加速します。もちろん、プラスティック製の CD を作るという行為自体が禁忌みたいな世の中になってくるでしょう。今はまだ成長していますが、明らかに規模縮小する国内市場だけでは厳しい時代が来ます。

なぜ、日本のクリエイティブはダサいのか


コンプライアンスが原因だと言う人が結構いました。

言いたいことが言えない世の中ではあります。こんな内容のコラム書いてる時点で私は「社会の異端者」でしょうし、非常に同業者からは嫌われるでしょう。自分の働いている業界に対して「未来はありません」なんて普通の人は書かないと思います。

面白い人が世に出にくくなった。という側面がかなり多いようです。

昔は攻めた楽曲やぶっ飛んだ歌詞の歌などあった可能性があります。ただ僕が知る限り 1990 年代で音楽は成熟していた気がします。それ以前の音楽あまり知らないですもんね。洋楽は割と知っている可能性がありますが、60、70、80 年代の邦楽ってあまり知らないです。

日本の音楽産業は 90 年代のクリエイティブ志向が抜けずにズルズル 30 年来てしまったのでしょう。これはコンプラの問題やマーケティングの問題やクライアントの問題、つまり産業構造の問題が大本でアーティストが悪いわけではないと思います。

市場やクライアントに求められる作品を製作したことで発展した産業がグローバル時代になってしまったがために、外に売り出す構造が全く形成されなかったこと、そして言語の壁があったこと、そして誰も挑戦してこなかったことです。

もちろん挑戦していた人たちはいます。もちろん細かな分野で世界をひた走るアーティストはいます。「上原ひろみ」さんとか「坂本龍一」さんとか「小澤征爾」さんとか。ただグローバルエンターテイメントアーティストがいないってことでしょうね。

現状世界で認知されているポピュラーアーティストがいないのは日本のアーティスト自体が悪いのではなく、産業構造が内需で非常に十分なパイを取れたからなのです。韓国が頑張っている理由は外貨獲得です。国内では需要が少ないと見込んで世界に売っていったわけです。

他と異なる制作スタイルは基本取れない

これは言っていいのかわかりませんが、大手の音楽事務所やアーティストが基本的には国内の需要目掛けてアーティストを発掘したりして契約し、国内の需要を満たすような楽曲製作を行います。もちろん全然悪いことではありません。

問題は構造にあり、やはり最終決定権があるような人たちが日本を見捨てて世界を取りに行くような製作スタイルは取れませんよ。理想は日本でも受けて世界でも受けてくれるということです。この部分は後半に詳しく話します。

僕がなぜ Death Metal などのアンダーグランドシーンが好きかというと、基本アーティスト達は世界のシーン目線で楽曲を製作してくるからです。日本の需要がないっていうのはその通りなんですが、目線がかなり遠くを見ているので非常に楽しい制作ができるからです。


つまらないものがとても高貴に見える

非常にこれが大きい要因だと思います。日本人は「型」というものにこだわりがある人達なのでしょう。芸事でも「型無し」「型破り」的な言葉があるように、一定の様式美をとても高貴にとらえている節があります。非常に伝統的でいいと思います。

日本のつまらなさ、一辺倒、というのは非常に高貴なのです。これを逸脱することは異端者扱いです。

失敗するからやめておきなさい。「非常に素晴らしいアドバイス」です。これは誰が悪いということではなく、非常に強固な構造がそこにあったのが原因です。その中で飛び出していった人が少なからず存在していた、という状況が今だと思います。


社会秩序への問題意識

2000 年代、北米で一番売れていた音楽は Hiphop、Rap 音楽でした。

しかも、歌詞の内容がアウトだということで米国議会で規制の対象になるか議論されるほどに。

普通に名指しで人物名を歌詞にいれて歌い、本人をディスる、そんな型破り? コンプラ破りな楽曲が席巻していました。それもワーナーミュージックが率先して CD 売ってたんですから。

今日本でも Rap 人気ですよね、まだまだアウトローな楽曲はそこまでポピュラーではないかもしれませんが、非常に人気だと思います。この線引き部分ですよね。大きなレーベルや音楽製作会社は大ぴらにコンプラ違反のような楽曲を製作して売ることは企業体として不可能だと思います。

製作側はもちろん会社のイメージやアーティストのクリーンなイメージを保つために様式美な音楽を製作する必要があるのです。これは構造の問題で、アーティストが悪いとか製作が悪いとかの話ではありません。様式美を求めているのです。

これがグローバルで勝てない理由に直結しているかというと少し違いますが、なかなかインパクトとれないですよね。そういう流れの話です。

我々はどうすべきなのか


世界で戦う必要性があるのか?

そこでしょう。個人としては日本の音楽が世界で売れたら嬉しいです。ただ、それだけですよね。

実際、自分が作りたいものを作って音楽の価値がそれなりに共有できて満足な世界を所望するのであれば、世界で戦う必要性はありません。

ただ、産業構造としてこれから現状キープの場合、長期的な下降線しか見えないこの音楽産業全体を見た場合とでは意見は少なからず変化するでしょう。

産業構造自体が縮小することが悪いことだとは思いませんが、やっぱりなんか寂しい気がしますよね。


ニッチや異端で攻めるしか無い

日本の楽曲で海外で受けている音楽ってアニメの BGM とか主題歌や挿入歌、そして Kawaii とか Hentai ですよね。V 系は廃れましたが昔はある程度海外に市場がありました。

もう、そこしか無いでしょう。J-pop が世界を席巻することは、合理的には考えられません。それこそ、坂本九さんのような、時代とタイミングが偶然マッチしたときとか、PSY みたいな明らかにコメディ色つよいエンタメを提供するとかですよね。

成功法というかガチンコで勝負するのはやめろとは言いませんが、構造を維持したいのであれば、そういったのぞみがありそうな分野に投資するべきでしょう。ただ、最近はアニメの Netflix などに市場を奪われ、Kawaii はちょっとインバウンド需要が少ないので、また別のニッチがあるといいですよね。


Novel AI のようなツールを使いこなすべき

現在、絵師は死んだ、くらいのように席巻している Novel AI ですが、作曲ソフトだって既にある程度の曲構成を生成してくれます。もちろんコード進行等のアイデアやスケールの候補なども表示してくれる補助ツールだってたくさんあります。

そしてこれからどんどん一般ユーザーも使いやすい音楽製作ツールが出てくるはずです。もちろんその時、それでお金が稼げる人っていうのはツールが提案してものに対して +α を付加できる人です。

そこで今までは「型」や「様式美」のような進行があったと思いますが、そういう前提を覆すような提案はいくらでも出てくるでしょう。人間が考えつかなかった音楽が生まれるかもしれません。そこで、他人と差を付けられる人は世界で通用する気がします。

実際ボカロ曲を書いているトップ層は海外でも受けているので再生数が非常に多いのがわかると思います。正攻法で攻めるのは個人ではなかなか無理だと思いますので、芸術に資金を投入できるような行政制度も大きくあるといいですが、望めませんよね。笑

今は過渡期


私はエンジニアですが、本当にエンジニアという職業がなくなる日が近いと思います。

流石に技師的な人間はいなくならないと思いますが、技師的なエンジニアだけで生活はできなくなります。ミックスも AI が 9 割やります、マスタリングも 9 割 AI がやります、の時代です。一部の強者以外廃業でしょう。作家も同様です。一部のバリューがある人以外 AI に変わります。

今はそれぞれツールを利用する側に知識を求められるほど、低度な AI 技術ですが、すぐに時代の変革はやってきます。私達は変わらなくてはいけません。音楽制作の構造も同様です。一度壊れれば新たな芽が出る可能性もありますが、できれば成長していきたいですよね。

つまり誰もが音楽産業に参加できるようになればそれだけ市場規模の分配でたくさん儲ける人が減る一方、市場自体の大きさが維持される可能性もあるのです。

現状キープの状況は非常に最悪な未来しか見えませんが、どこかにかすかに小さな光があるはずです。個人個人、現状に満足出来ていない人はたくさんいると思いますが、しっかりと現実を見て、理想や熱意以外の頭を使った戦略を立ててください。

よろしくお願いいたします。

POST DATE:
CATEGORIES:
TAGS:
  • 書いた人: Naruki
    レコーディングエンジニア
SNS Share