オーディオ電源の話

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オーディオ電源の話

オーディオ電源の話 

大体、音について研究すると、アコースティックルームと電源の話に行き着くんです。この世界に到達する人っていうのは何周も音に対する向き合い方をしてきて、大体最終的に戻ってくる到達点です。

ウチは 200V だからとか、My 電柱を建てたとか、そ~言う話聞きますでしょ?

ああいうのは、金持ちの道楽だと思ってください。200V なんてどこのご家庭でも 単相3線 で来てます、使えます。だからそーいう眉唾な知識ではなくて、ちゃんとした電気工学的な知識を知ってください。

電源に対する間違った印象や知識が書かれたサイトはゴマンとあります。

日本の電源事情


世界で 100V を採用しており、東西で 50/60Hz が分かれている国は世界で日本だけです。本当は日本は関東は PAL、関西は NTSC で分かれてなければいけないレベルのおかしな国なんです。

でも勘違いしてはいけません、供給率は世界最高です。停電なんてめったにありませんし、復旧速度半端ないです。電源の質も絶対に良いです。

なにが世界に比べておかしいかというと、動作周波数と電圧の低さの問題です。世界で 100V を採用している国は知っている限り、日本のみです。東西で周波数が違うので関西のほうが音がいいなんて言われたりします。

最近の音響機材は海外製品ばかりです。昇圧前提の製品が多いですね。ただ、ぶっちゃけると、110V って書いてあったら、100〜120V だったら動くし、230V だったら、220〜240V で動きます。

交流で動く製品を知っていたら教えてくれ


そして、みんな忘れている、もしくは知らないかもしれませんが、交流で動く電子機器って無いんです。中で直流に換えていますから、電圧はあまり関係ないかもしれません。

重要なのは動作周波数で 関東は 50Hz で、関西が 60Hz、つまり関西のほうが電気エネルギー的には 20% も有利です。関西のほうが音がいいなんていわるのは、これが影響する可能性があります。ちなみに 50Hz と 60Hz のブラインドテストしたことあります。わかりませんでした!

重要なことは、内部で直流電源に変換しているということを頭に入れて置かなければいけません。

直流に変える方式


最近 AC Adapter を使っている製品増えましたよね、昔は変圧器、といえば重いトランスだったんですが、最近はトランスからスイッチングになってきました。なんでかと言うと、重くでかいトランスは回路の邪魔になるからです。電源系統は媒体の外に回路を持っていれば、製品の中にそれ以外の回路が組めます。

最近の若い子は知らないかもしれませんが、昔の AC Adapter は重すぎ (トランスだっ) たのでコンセントからよく自重で抜けたりしました。みんな初代ゲームボーイは単三電池 4本 で動かすより、あの重いアダプター使って動かしてたよな!?

トランスからスイッチングに変わってきて、これが音が悪くなった原因だって言っている人たくさんいます。が、最近トランスじゃなくてスイッチングを採用しているのが増えた理由があると思います。最近の高級な ADC、DAC 製品はもうスイッチング電源を採用しています。

つまりは設計次第なんですね。スイッチング回路がノイズがどうのこうの話がありますが、こぞってメーカーがスイッチングを採用しています。つまり可聴範囲にはそこまで影響しないんじゃないか、と思っています。

トランスとスイッチング


トランス

メリット

  • ノイズが少ない

デメリット

  • 重い
  • 発熱量が多い
  • 意外と脆い (衝撃等)
  • 効率が悪い
  • 価格が高い (銅線巻付け)
  • 唸る (動作音がする)

スイッチング

メリット

  • 小型軽量
  • 発熱は少ない
  • 多少の雑な扱いは無問題
  • 高効率
  • 安い
  • 無音

デメリット

  • スイッチングノイズがある

音が良いか悪いか、ではなく、どっちの電源売りたいですか? のお話です。そらトランスやめるわ。

Apple の USB 充電用アダプター。これスイッチング電源です。そりゃこれみんな売りますわ。どでかくて重いトランスのアダプタ売ってみ?ブランド崩壊しますね。

スイッチングノイズ


普通の人は気にしなくていいです。普通のメーカーであれば、ノイズ対策しているはずです。諸説いろいろありますが、ほとんどのメーカーはノイズフィルターなどを電源系統に持っているので、気にしなくていいと思います。

で、私は、単純にスイッチングとトランス DC 電源でどこまで音が変わるか、を実験してみたいので、電源作ります。ちなみにこれ複数台作る予定なので、ガチで欲しい人はメールください。特別価格で提供します。

完成予想図、Antelope 製品用の 18V 2A を 3系統

電源は出力が大きいほど、余裕が生まれて音質向上に効果があるらしいです。

仕様は DC18V 出力、容量 6A の予定です。Antelope Audio 製品 3つ 動かせる電源になります。やっぱ 18V っていう電源ってなかなか無くて、せっかく Antelope Audio 製品動かすなら、電源こだわりたいよなって、確実に作ることになりました。

電源はまだ構想段階なので、仕様が変更になる場合があります。エンジニアと相談しながら最終仕様と部品決めます。

内容は大容量トロイダルトランスと大容量コンデンサそしてノイズフィルター用のファストリカバリダイオードの業務用の超弩級電源になる予定です。大きさは A5 サイズ以下。分かる人はわかると思うけど Voltikus くらいの大きさでVoltikus より安くていいもの作る予定です。デカくはならない、結構ちっちゃい。

詳しい内容はまた別途記事書きます。予算とか完成時期とか。10万以下、8万くらい予定。試作機作ったら写真とかも上げます。欲しい人は naruki@nk-productions.net へ。

よくある昇圧って意味ないの?


昇圧しないと安定動作しないとか、動かないとかがあるので、意味がないわけじゃない。あと電力効率が変わるから、音のエネルギーが増す可能性がある。ただ、闇雲に昇圧すればいいってわけじゃない。

そこで、音響に必要な電源製品をおさらいする。

ディストリビューターの種類



ノイズフィルター搭載

  • CLASSIC PRO PDM Series
  • TASCAM AV-P Series

この辺多分持ってたり使ったことある人いると思いますが、これはパワーディストリビューターです。直訳すると電源分配器です。これで音が劇的に良くなるわけではないです。普通にコンセント直挿しのほうがいい場合もあります。単純にフィルター搭載でサージとか付いているので電源タップの延長線上の製品だと考えてください。

フィルターが入っている電源からフィルター入りのタップにつないだら可聴範囲に影響するようなので、まじ気をつけたほうが良い電源シリーズです。


安定化電源

  • CLASSIC PRO PDM/R
  • FURMAN M-8X Series

安定化電源も同じように用途が違います。これは野外やたくさんの電源が周りで使われている場合の現場で、落ちた電圧を安定化装置に一回入れて、100V ないし 120V を安定的に出力するものです。レコーディングや DTM では必要ないかな。

このあたりはコンセントまとめたいっていう人用。電源ボタン 1つ でシステム全体の電源が全部点灯できるということに意味がある。だから実際にはおっきい電源システムを買って普通のタップを使って分配したほうが賢い場合もある。電源難しいなおい。

アイソレーション電源


オーディオ用としてはこちらのほうが効果は強いのではないか、と思う。簡単に言うと、質のいいトランスで変圧しましょうねー、または入ってきた 100V をトランスで清流しましょうねー的な製品。

アイソレーションとは絶縁分離のことで、電源が商用から分離できて、絶縁もできるからオーディオ向きだよね、って話。アイソレーショントランス使ってるからアイソレーション電源なんて言われている。

欠点はトランスの唸り、超大型で、ものすごく重くなる。トランスのうねりって意外と自分のスタジオでは気になるもんなんですね。静かだとね。200V から 100V や 115V に落とすと結構効果あるらしい。コストもあまり掛からない。といっても、単相3線の 200V 工事とかトランス電源買うとなると、大卒初任給くらいは必要だと思う。CSE の電源は使ってました。

レギュレーター電源 (リジェネータ)


安定化電源の内部構造が違うガチモンの安定化電源のタイプです。

AC → DC → AC に変換する電源なので、自家用発電所みたいな言われ方をする。商用電源の AC は質が良くないので、一旦スイッチング、またはトランスで直流清流した電源を再度、AC (交流) に戻すタイプです。

だから、変圧も周波数変換もできる。100V/50Hz の電源が きれいな 100V/60Hz とか 120V/60Hz に変換できる。このあたりは SHINANO とか KOJO の製品がそれに該当するようなので、詳しくはそちらで。安くはないんですが、一番効果が期待できるタイプです。

普通に自宅で使用するレベルでも 40万 〜 200万 くらいは当たり前。こういうのは良い電源に変えて音を良くするという代物ではなくて、電源の質で音に影響が出るのを防ぐ、というスタンスなので、考え方が違うことを覚えておこう。

オーディオグレードとホスピタルグレード


どっちがいいとか、悪いとかで議論している人もいますが、まずオーディオグレードとホスピタルグレードを明確に知ってください。

オーディオグレードとは、その名の通り、オーディオ用に特化した電源ケーブル類です。

日本だと FURUTECH とか OYAIDE とかですかね? オーディオファンのために作られた電源です。つまりはすべてがエンジニア向けというわけではない、ということを多少は知るべきです。音楽鑑賞に使う1つの道具と考えてください。

ホスピタルグレードとは、その名の通り、病院で使う電源ケーブル類です。オーディオに特化しているわけではなく、生死に特化しています。

簡単に言うと、アウトレットから外れにくいとか、ノイズに強いとか、病院の生死に関わる電子機器で異常が起きないようにするための電源ケーブルです。

電源ってどうすりゃいいの?


コンセントから、タコ足配線しなければ何でもいいと思うよ。

結局一番変わるのはコンセントのアウトレットを変えること。ただし、電気工事士の資格が必要だから、資格持ってない人は自分でやっちゃだめだよ。

おそらく壁コンは Panasonic の WN1512K とかいうタイプがご自宅の壁に付いています。あとは JINBO (神保電気) の壁コン。これ 300円 くらいね。これを変えるだけで一番効果がわかりやすいと思う。

オーディオグレードよりホスピタルグレードのほうが個人的にはオススメ。なにせオーディオグレードは青天井に高いから。ホスピタルグレードは本当に病院用に作っているものであれば 1万円 以下で結構いいものが買える。

また、3P はグランドノイズを処理できる機材がない限り、自宅ではやめたほうがいいかもしれない。2P のアウトレットを使って極性を揃えるだけで、だいぶマシになると思う。ただフィルターとかある電源だと 3P 落とさないと効果出なかったりするから電源難しい!!!

  • 書いた人: Naruki
    レコーディング、ミキシングエンジニア
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