最強のバランスコントローラー smart:EQ 4 by sonible 【PR】
最近、前置きを書いていないので、前置きを少し書こうと思う。
このプラグインレビューは単純に自分が製品のフィードバックを行っていたり、こちらからの提案を快く受け入れてくれたベンダーへのお返しという意味も含めて書いています。
もちろん、世の中の有象無象の情報に対するアンチテーゼが 9 割以上を含みますが、基本的に私が情報を出す、発信するメリットは私自身には殆どありません。
これらの情報を無償で公開している意味は自分のセンスの無さが要因であります。自分は「自分自身が言語化できない感覚なぞ、鼻くそ」だと思っているので単純な言語アウトプットとして利用しています。
その中で毎年赤字で運営しているこのブログに広告が載ってはいますが、広告収入はガチで赤字です。その背景をよく理解して情報を取捨選択してください。アフィリエイトが目的ならコピペ記事を量産しているでしょう。
あと、以前にも話をちらっとしたのですが、他人 (エンジニア) の言う言葉なぞ 100 回に 1 回程度しか参考になりません。基本、他人の意見なぞ鼻くそです。ただし、自分の知識の養分にはできます。基本的にこういうレビューは肯定的なことしか書きませんし、公平を期してか難点を上げているレビューも散見しますが、全く、難点が難点の様相を呈しておりません。
私は基本的にレビューは「どのように応用を利かせるか」しか解説しておらず「このように使え」とは解説していません。全ては「時と場合による」しか言えません。主語が大きい戯言が気になるのはわかります。が、主語がデカい話は、マジで「特定の場合」という前置詞が付き纏います。
この解説もいつもながら、「困ったときのおまじない」という側面をよく理解してお読みください。
また、現在 smart:EQ はイントロセール中であり、以下のリンクからプラグインを購入していただけると私の営業実績になるため、アフィリエイトに嫌悪感のない、非嫌儲民の方はブログ運営の手助けだと思ってどうぞリンクからご購入ください。
わざわざ、このプラグインの細かな機能は覗かない。購入したあと、自分でマニュアルを読めばいいだけだ。あとで日本語マニュアルについて sonible のマーケティング担当や副社長にメールしておく。
Intelligent EQ by AI
日本では iZotope というブランドが人気と知名度が高く、AI プラグインといえば iZotope という認識強いだろう。しかし、残念ながら iZotope は私はなかなか仕事ではストレートには使いづらい。それくらいエンジニアの通常の業務感覚とは異なる側面がある。もちろん、デモやラフ出しで iZotope プラグインを利用するのは非常に有用だと思う。またはあの感じを求めるならこれ使うぜ、的なものでオールマイティではない。それはどんなプラグインでも言えること。
sonible は AI プラグインを開発しているブランドであり、その開発側面が業務エンジニアに向けているため、自分は AI の意図、提案を非常に読み取りやすい、という側面がある。簡単に言うと AI の提案を理解することは容易である、ということだ。つまりは汎用性は私にとって非常に高い。
つまり、提案について非常に業務的に捉えられるため修正が簡単ということ。
ただし、このレビューを読んでくださっている方々にとって「AI の提案を理解することが容易」という字面がなんとなく「こいつなんか上から目線だな」という印象を受けると思われるので、その部分からどういうものか解説していかなくていけないと思う。
smart:EQ の概要を知る必要性
まず、この EQ は何をするものなのかを知る必要性がある。
別に曲に対して「こんな EQ はどうですか?」って提案する EQ ではない。もちろん機能を深掘りするとその側面も持ち合わせる場合もあるが、単体トラックに利用するに当たって、smart:EQ はセッションに対して提案をするわけではない。
重要なのは EQ をする意味を考えることだ。
エンジニアにとって EQ をする意味
非常に難しい問題である。ある意味、哲学というか各エンジニアそのもののあり方、みたいな問になるため、局所的な部分にフォーカスを当てる必要がある。
ローカット論争が一部の小さなネットコミュニティには存在しますが、ローカットする、しないは、非常に局所的な問題に対して議論しているものであるのに対して、主語が大きすぎるため、業務的なエンジニア視点からの意見を言うと「する、しない、という極端の議論は全く意味がない」です。
重要なのは「ローカットする意味を見いだせるか」であり「理想的にはローカットは必要ない」という理想と実利の問題へと発展していく。つまり両方の意見は正しいのだが、極端の凡例について議論しているに過ぎず、実務的には「する、しない、の意見内容」は汎用性には欠けるということだ。
すべては「そういう状況の場合に於いて、する、しない、を天秤にかけて制作にとって正しい判断ができるか」という部分である。重要なことは毎回言っていますが、判断、決断するための正しい音響処理背景または音楽的背景である。もちろん、A/B で聴き比べてどちらが最適かを判断することで、どちらも正しいし、どちらも間違っている状況が満遍なく存在してくる。
ほとんどはセッションに対しての方向性の問題
EQ をする理由は一つ。
例えば、スネアが明るい音像の方がいいのか暗い音像の方が良いのか、これは明らかにセッションで明確に別れます。
簡単です。曲調が暗ければスネアの音像を暗くすればいいし、明るい楽曲であれば、スネアの音像を明るくすればいいだけです。そのときに EQ はざっくり設定すればいいので、非常に簡単です。
EQ は基本的にはセッションの方向性に於いて、エンジニアが思った通りに実行すればいいのです。
あとは、よくある問題でマスキングとか、ある周波数が少し出すぎているので引っ込めるとか、足りない周波数を補うような形で EQing するとか、非常に平凡なことです。エンジニアに伝家の EQ や秘伝の EQ があるわけではありません。
もし、秘密の EQ 設定がある、という人がいるとすれば、それはセールストークです (もしくは偽物です)。残念ながら汎用性の高い機材はありますが、汎用性の高い EQing はありません…だってそれは曲調に左右されるためです。
ではなぜ、AI の EQ が必要なのか
人間では不可能な EQing を行うために必要だからである。それも「セッションに合わせた EQ」ではなく「素材に合わせた」または「トラック間に合わせて」EQ が必要な場合である。
商業的にエンジニアをしている方々は素材によっては「EQ が必要」と判断することがあるだろう。その場合「セッションに合わせて」以前に EQ をする理由について、Resonance (共振周波数) の EQing や特定の音程における単体マスキング EQ が必要な場合がある。
この場合、問題のある周波数を特定することは時間がかかったり、聞こえづらいことも多く、結局総当りを強いられることが多数である。また、特定の周波数と Narrow Q をしてしまうと、また別の問題も発生することがある。
このような外科的な EQing はアナログ EQ では非常に難しく、デジタル EQ を利用せざる負えない。そして、基本的には素材に対して適切な処理ができるか、と問われると非常に難しい。なぜなら問題の周波数っていうのは時間軸で変動してしまうからだ。
このような場合には、実は Resonance suppressor があるが、これらのプラグインは干渉し合うトラック間の相互関係を考慮できないなど難点がある。それらの問題を解消したのがこの smart:EQ であり EQ4 に Update したことで、各トラック間のリレイションシップが強化された。
基本的な考え
smart:EQ 4 は基本的には分析した音声に対して AI を使用してそのスペクトル問題を修正し、音のバランスをとるために均等化する知能を持った EQ です。そしてチャンネル間で動作し、自動スペクトルミキシングを複数のトラックに階層的な制御を実行できます。
トラックオンリーで利用する場合、基本的にはスペクトルバランサーとして機能し、これをすべてのトラックに適応してミックスしても、おそらく、ただ素材を並べました、と同じような効果しか得られません。単体トラックに対しては基本的にスペクトルの問題をできる限り違和感のない程度に排除しつつ、周波数バランスを均等化するだけです。
トラック間の関係性やセッションに於いて最適解を提供するものでもありません。
この機能だけを聞くと Master EQ の微調整に使えると思います。または Bus Track のバランサーとして利用できます。もちろん単体トラックにも利用できますが、単体トラックの場合、もう少し局所的に処理をしたい場合もあるので、多数の選択肢が考えれます。
しかし、なぜ、この EQ が「Bus Track」や「Master EQ」の補助に最適なのでしょうか、少しだけ掘り下げましょう。
smart:filter
smart:EQ の最大の特徴として、この smart:filter が挙げられます。
これはトラックに階層的な制限を追加する機能です。字面だけではさっぱりわからないですよね。
簡単に言うとインテリジェントに複数のクロスチャンネル処理を提供するものです。
まぁ、説明は一応します。
Group 機能
まぁ、マニュアル直訳な感じで行くと、インテリジェントなクロスチャンネル処理を使用して、最大10トラックまでの階層的な配置を簡単に作成できます。トラックがグループの一部になると、その smart:filter は自動的に他のグループメンバーからの情報を取り込み、計算された smart:filter 曲線に組み込む。
プラグインの機能を紹介してもしょうがないのだが、Front、Middle、Back と三層にわけてクロスチャンネル処理を実行できる。まぁわかるでしょ。各層によって優先度があってその優先度に従って各トラックの関係性を整理できるという機能。
まぁ Front、Middle、Back という意味のまんまだ。英語が弱い人に向けて Front は全面、Middle は中間、Back は後ろ、というように Track の構造を調整できる。もちろん、あくまで目安である。
当たり前ですが、こんなことは人間には不可能であるため、かなり時短になるし、エンジニアが求める直感的な関係性を調整できる。特に Master Bus で Vocal が抜けてこないという現象は多い。もちろん、エンジニアが全面的に悪い、ということでもなく、やはりギターがある程度旋律を演奏しつつ、ピアノがコード + 分解進行をしている場合、どうしても歌とぶつかる。
こういう進行の場合、当たり前ですが固定よりも可変が有効になるため、インテリジェント処理が人力に負けるはずがない。というか人力が勝てるはずがない。つまりインテリジェント EQ 最強。
最近は Suno AI のときに 反 AI 主義者が暴れ回っていましたが、エンジニアに 反 AI 主義の人、いない気がする。
AI の提案が最適な訳がない
こういうインテリジェント処理ができるプロセッサーが出ると「AI 提案が最善である」と勘違いする人が必ず出てくる。
何度でも言うが「EQ はあなたの音楽性表現のために利用するツール」であり、AI はあくまで「音声素材を分析し、スペクトル問題を修正し、音のバランスを均等化する」だけである。つまり、音声処理的には AI は最適だと思う範囲に調整してくれるだけで セッションに対して最適を提案しているわけではない。重要なのは提案された処理に対してどこまでセッションに対する最適解を微調整できるか、である。
これはプラグインが行ってくれることではない。
最後まで重要なのは「自分が求める音へ辿り着くこと」で AI EQ を利用することではない。ただし、smart:EQ は新しいインテリジェント処理からエンジニアが求める正解への近道になりうるのである。
AI と付き合うのは非常に難しい。正直、エンジニアリング的な実力ではなく、確たる音楽的完成像が見いだせるだけの「あなたのセッションに対する確たる音楽的感性」以外は重要ではなくなる。
申し訳程度の解説
他人の EQ は参考にはなりませんが、ある程度の考え方のリファレンスになればと一部載せておきます。
Vocal
音程が変化する音の場合、Adaptive のパラメータを音を聞きつつ強めに設定してもいいとは思う。
ボーカルの場合特にフォーカスが強いトラックになるため、常に変動する周波数に対して対処し続ける必要がある。もちろんあくまで目安であるが、AI が提案した音に対して独自の視点を付加していくことが大事。
Bass
これも全く参考にならないと思うが、以下の画像のセッションでは、Bass (竿もの) の音よりも低い周波数の打ち込み音源がアレンジで追加されている。Future Pop 系とでも言おうか。そこに対して AI はケアをするように 20Hz あたりまで処理を実行してくれる。
これに対して、以下の画像が実際に適応した EQ 設定。
打ち込みの低域ラインに実際にはマスキングしているだろうが、明らかにセッション意図とは違うバランス構成になると思ったため、Bass と打ち込みの低域ラインの交通整理はわざと実行していない。
音を聞かせることはできないが、マスキングより大事なことはセッション全体のバランス感覚である。
結局、重要なのは音楽的な文脈である。Bass と低域の打ち込みや貼り付け音源がぶつかる場合でも問題ない、と判断できるのは「そのジャンルの文脈が理解できるから」であり、重要なのはマスキング処理をすることでもマスキング処理を無視することでもない。
セッションにとってそれが最善であるか、でしかない。
Guitar
EQ の提案の逆を行くこともある。
全体のリレイションを考えて AI の提案通りに何も調整しないと、マジで味気ない Bus Mix が出来上がる。もちろん全体のバランスや混ざり具合、というものを考えたり、Front と Middle の関係性の考慮すると明らかに AI の提案は至極真っ当であることは、自分でも理解できる。
つまり AI と対話ができている状況である。そして、そこに対して逆を設定している。
これは求める音、セッション全体の音構成の意味や対象トラックの音楽的な挿入意味など、すべてを考慮し判断して、AI の提案を「あなたは非常に優秀なんだけど、このセッションでは逆の文脈が必要なんだよ」ということをしている。
重要なのはマイナス方向に Impact を設定すると、どのような状況が再現できるのか、音をちゃんと聞いて、これがこのセッションに於いて最善である、と判断できるだけのあなたの音楽的な素養が必要であることが最重要である。
良いか悪いか、で言ったら AI のインテリジェントは明らかに「良い」提案をしているはずだが、それはあくまで「分析結果による都合」であり、セッションとは何ら関係がない。
Master EQ
最後に Master EQ の場合、スペクトルのバランスと周波数の問題をできるだけ排除してくれるだけの EQ しかしないため、Pre、Post 好きな方でいいのですが、アナログ EQ 後でも前でも挿入しておいて EQ 処理を Master で実行する意味は見いだせる。
これに関してはワークフローの問題であり、実際にやるかやらないか、は個人の裁量であり、ツールを使う人の発想力や応用力の問題である。
この EQ が使える使えないは問題ではない。重要なのは求める音像に到達するために試行錯誤をすることである。
そこまで言うなら全部手作業で EQ しろよ
そんな声が聞こえてきそうなので再度言うが、人間では絶対に実行できない EQ を実行できるのがインテリジェント EQ である。
重要なのは人力で EQ をすることではなく、インテリジェントを利用して、業務的に最善である EQ を行うことである。その中でセッションに対して適切な設定を施せるか、である。
そのためのツールとして smart:EQ は非常に高い打率を誇る。
もちろん、上手く行かないなぁ〜 ということもあるのだが、大体、上手くいくのである。
そういう意味で非常におすすめしたい。
もちろん、文脈やジャンルにより、この EQ を使うと全く上手く行かないことはある。例えばオールドスクールなロックやメタルにはあまり向かないかな〜、これを使うと急にモダンな音になってしまうから。
最後に
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