iZotope Ozone 11 Advance と Nectar 4 最速レビュー
特にこれといった前置きはありません。
49ドル+消費税のアップデート費を回収できるわけはないのですが、レビューしたいと思います。
50ドル超えると 7,800 円 くらいになる円安。素晴らしい。もっとドルで仕事せねば。
あ!ここから iZotope 購入してくれると、僕の実績になるので是非!
Ozone 11 Advance
私は Ozone 4 からのユーザーなので、過去作から現代作までを一応は知っているつもり。だから Ozone 11 Advance がどう優れているのか、についてはかなり端折ってしまう可能性があるのでお気をつけください。特に初心者向けの解説ではなく、単なる個人的な感想が主なので、理解できない単語や意図がたくさんあるかもしれませんが、そういう、単なる DTM 界隈の肥やしになるつもりはないので、優しいレビューや解説が欲しい方は是非今からブラウザバック (死語) を実行してください。
オートマスタリング機能
確実に進化している。ただ、動作がとにかく重い。重い。それは解析中で特に重いが動作自体はとくにこれといったストレスはないが、それでも十分処理は重い。GUI の影響で GPU が貧弱な Computer は辛い可能性は否めない。ただ、自分のスペックが貧弱なのと、プラグインの要求スペックに満たっていないのは、あなたの資金力不足なので、それはメーカーを責めるべき点にはなり得ない。大体マスタリング向けで他のプラグインを挿す前提ではない。
AI というか中に実装されているアルゴリズムは非常に優秀だと思います。
ちょうど Rock の楽曲なのですが、ドンピシャに「Rock」を当ててきて、自動で可変 EQ がぐるぐる動くような感じです。人間にはこれは太刀打ちできません。Clarity とか Stabilizer とか。
しかし、やはり、というべきか「元々のバランスの意図を解釈して、AI EQ する」ということはできない。Ozone の AI EQ は非常に「バランスの意図しないであろうちょっと甘い音」を今どきのサプレッションアルゴリズム系プラグイン同様に「君が欲しかったバランスはこうでしょう?」と提案してくる。もちろん、その強度はスライダーでイジれるのであるが、これをみんな使うことで、「スターの没個性化がますます進むことは間違いない」と感じた。
これは悪いことではない。最初は「誰でもお手軽にプロっぽいを手に入れられる素晴らしいプラグイン」であろう。で、Ozone 11 の AI 機能を毎日のように使っていくと Ozone 11 に慣れてきて、おそらく有能な人は「いつも同じような提案されてつまんねー」ってわかってきてからがこの Ozone 11 の AI 機能であると思う。
AI の提案はあくまでもアルゴリズム上の計算結果であり、そこから自分らしさを出すための細かな調整機能であると覚えよう。初心者の方はつまみを一切動かすな。まずは Ozone 11 の傾向を十分に把握してから、没個性を感じ取り、そこから各細かいパラメータをマニュアルを見ながら調整していこう。
EQ
まぁ、これは進化は特にしていないと思いますが、あまり外科的な EQ はしなくなった感じがあります。昔は結構 Peak-Q で局所的に抑えるような EQ をされた経験が多かった印象ですが、最近の超 Wide Q EQ をプラグイン側でするようになったと思います。つまり細かいところは Dynamic EQ が担当するということでしょう。
自分で LOW は出しすぎてるけど、相対的に広域はちょっと引っ込んでるなぁ〜って思っていたバランスが全体でしっかりと調整してくる。ただ、LOW はわざと多めに突っ込んでいるので、AI の提案はあくまで「あなたのバランスは Ozone の学習的に量が多いですよ」って言っているんだ。マスターのバランス意図がないのに AI にお任せ、は初心者なので、そこから脱却するための意図を常に持とう。
ただし、この EQ は「後段のモジュールありき」の設定であるため、EQ を変えたら後段のモジュール調整も必須であることを認識したほうがいい。つまり Ozone の AI の提案を自分でイジりたい場合、最後の Maximizer から調整していくほうがいいだろう。もちろん、これは私の提案で別に厳守しなくていい。
Impact
実は Ozone 10 のときの Impact は酷評していていまして、あれを使っているプロの同業者はなにをどうコントロールしているんだ…なんて思っていました。まぁ Ozone 10 のときにも言いましたが、Impact は「後段のモジュールの影響で失われる Transient や Release Groove などを復元するためのモジュール」だと勝手に解釈しているので、Clarity や Stabilizer、Maximizer の処理で少し立ってしまった Transient を和らげたりするためのモジュールであると勝手に解釈しています。
しかし、Impact Module は進化していると思う。Ozone 11 の場合、非常に全体のトランジェントをプロっぽく仕上げてくれる。Transient や Release の調整は本当に難しいし、無いとつまらんけど、ありすぎると曲として崩壊するし。その中でいい塩梅に仕上げてくれるので、こいつに調整されないレベルで調整するということを目指してもいいかもしれない。
ただ、自分は作った Transient、 Release、Groove などを整えられて、正直むかつく。自分が未熟なだけなんだけどさ。
Imager
毎回毎回 Ozone 10 の Imager でステレオ幅を狭められてきた私ですが、今回は Mid を 100 にされました。まぁ、これは今回の Rock 楽曲がギター1本なので頑張って広げてくれたんでしょうね。
Ozone の Imager はそこまで位相の状況を悪化させるものでもないので、好きに使ったら? くらいにしか思いませんが、もしかしたら Ozone 10 の傾向とは真逆になる可能性があります。
最近はステレオの処理についてかなり情報も知見も正しいものが広まってきた。特に Side の信号の Recover については Bassline Pro (Tone Projects) にもある。どちゃくそ難しい。世界で一番むずかしい部類のパラメータだ。Side Recover については Ozone 11 は Auto で調整してくれる? +3.0 dB 固定? なので少し簡単だ。まぁモノによるけど有効にするとセンターの存在間が強くなるんだけどさ。どういうものなんだろう、マニュアル読んでない。
Clarity
Clarity はちょっとむずかしい判断を要するだろう。特にリリースに干渉する、リバーブとかにも干渉する。通常はそこまで問題になることはないだろうし、Amount の量やリリース値を調整していけばいいのだが、少し深いリリースを持つものだと、かなり干渉する。
通常はそこまで問題になることはない、自分がまたまた見つけたリリースの干渉は Auto の場合で自分でちゃんと調整できる層は関係がない。これはおそらく単体モジュールとしては使える用途が考えられる。とくに自分で家で録音したものとか、宅録の環境は絶対に完璧ではないので、そういう素材のお掃除的な役割はかなりするだろう。Gullfoss とかと一緒で不要な周波数を削ってくれるものだと考えよう。
調整できるパラメータは全然少ないので、AI に任せっぱなしか OFF かな…あとは Release を長めにするとかかな。
Stabilizer
これは Clarity と何が違うのって言う人もいるかも知れないけど、Clarity はその名の通り、クリアというか余分な音を整理する目的ですが、Stabilizer は全体の周波数バランスを常に調整するってやつ。カメラのバランスを取り続ける機材があるんだけど、あれ「スタビライザー」っていうので常に決めたパラメータの目標に向かってバランスを取り続ける、みたいなモジュール。
これは、好みの問題もあります。常に動く EQ は音楽をかなり生き生きとさせる影響があります。固定ではないので、音楽がつまらなくなりにくくなるで積極的に使ってもいいと思います。
割りと EQ、Clarity、Stabilizer はセットかなっと思います。もちろん、このモジュールも単体で使うのは全然ありかと思います。Clarity はどうしても構造上、いらないような周波数をガンガン抑えて、音に直接関係があるような周波数をブーストするので、音像がかなりペラっぽく、薄くなる傾向があります。
単に音量が下がった影響もあるでしょうが、ものによりますけど Clarity で低域がすこし薄くなりすぎたら Stabilizer がそれを自動的に補正してくれるような場合もあるでしょう。また EQ は固定なので突発的なフレーズ変化には非常に弱いのでそれらを Stabilizer が補佐してくれる可能性も大いにあります。
モジュールの処理内容と設計者の意図をマニュアル含めて読んで理解して使うことをおすすめします。
Dynamic EQ
正直語ることはない。AI がここ抑えたいって思った場所を抑えてくれる。
EQ で高域をブーストされたけど、しきい値を超えたら抑えられるように設定されているので、最初のモジュールの設定は後段のモジュールの設定決定の要因になっていることを十分に把握して調整しよう。
これは何度も言うよ。
なんか、この Dynamic EQ は若干音が鈍る感じがあるので、僕は OFF が好きでした。もちろん、音が鈍る以外のいいところもあります。鈍るのは飛び出る Transient 制御にも一役買っているので全てはジャンルや意図次第といったところでしょう。これも後段の Maximizer への橋渡し的な Dynamic EQ 処理なので、後段の Maximizer ありきな部分であることを必ず頭に入れて調整しましょう。
Maximizer
Ozone 11 Advance の Maximizer は少し進化している。
みんながよくわからないであろう「Upward Compress」というつまみだ。
これは全く調整幅が不明だが、自動解析で特定の状況でコンプレッサーとは逆の動作を行うということだ。コンプレッサーは通常は設定したパラメータに従って信号レベルを抑制する、つまり「Downward Compress」を行うのだが、これはその逆を処理するやつ。マイナスレシオエキスパンダーだと思えばいいでしょう。
ただ、「マイナスレシオエキスパンダー?」って人が大半でしょう。もうプラグインにまかせて理解は深くしなくていい。それが Ozone の Master Assistance の醍醐味だ。
詳しく知りたい人は こちらでも読んでみる といいでしょう。英語ですが。
まぁこれは極端なダイナミクスを調整してくれる Upward Compressor だからそこまで気にすることではないと思う。AI が調整してくれるものだからON、OFF で判断するしかない。ただし、ON と OFF で読み込みフェードがあるので、ぶっちゃけ聴き比べが無理。
そして Rock の判断からか、Soft Clip の M が 10% 適応されている。これがどんなツマミかよくわからない人は以下ページの長編解説を購入することをオススメします。
Ozone の Maximizer は正直難しい。特に IRC の挙動が本当に各アルゴリズムで異なるので「適切なものを選択できない」という人が 100 人中 95 人 という割合で存在しそうなのだから AI にまかせて、Maximizer の本領を発揮させるという企業側の都合も含めてかなり合理的なシステムだと思う。
すでにこのモジュールも AI アルゴリズム前提のモジュールになっているので、自分で考えて使うのは非常に酷である。もちろん、この Maximizer は Limiter と Upward Compressor と Clipper (Saturation Circuit) と Transient Emphasis と Clipping Stage (Brick Wall) と True Peak Circuit がひとまとめになっているので、どこでどのように制御して目的の音色に到達するか、超上級者向けではある。
Spectral Sharp
マスタリングではほぼ出番がないでしょうが、このモジュールは普通に単体で利用できると思う。特に Soothe2 とか Clarity とは違った完全なる Resonance 抑制のために利用できる。
ただし、Soothe2 や Smooth Operator、その他 Resonant Supressor に比べたら自由度は低いため、 とにかく Tone パラメータを上手く使えるようになろう。
Low End Focus
これも前作のときに酷評したモジュールですが、今回は自動でさされることが無い。今のところ。俺のベースマネジメントが完璧なのか?
動作がオートかつ、つまみが少ないベースをもっと意図的に持ち上げたい、という場合にりようできるかな。。。え、でも自動で解析されたモジュール間で低域の調整がほとんど整理されてしまう関係で、Ozone 11 ではこの子はほぼ「いらない子」状態になっていないか?
実用に使えそうな機能の紹介
ここでは、モジュールで使えそうな機能について追記する。
Dynamics
この UI はもっと大きい表示になったらいいのになあっとは思うけど、非常にインテリジェントな処理ができるので頭に入れておこう。
まぁ、マニュアルと同じこと書いてもしょうがないんだけど、右上の Adaptive Release 機能と Limiter セクションを通常のコンプとして利用して Compressor を Upward として利用することができる。Adaptive Release はピークファクターに応じて自動的にリリースが実行されるので、とにかく難しい Release 調整を Auto にできる。
Upward Compressor は ADPTR Audio のSculpt 以外、なかなか有用なプラグインが存在していないのでこの Dynamics を利用してみるのはありかもしれない。
Digital EQ
EQ のモードを Digital にすると、Linear Phase Mode から Minimum Phase Mode へのスライダー調整がある。そして、General から詳細をいじると、Phase の状態や Soft Saturation のオプションがある。Soft Saturation は、う〜んどうだろう。別のエミュレーションプラグインを利用するかなぁ…
位相回転を気にするか、IR 特性を重視するか、または音を聞きつつ、パーセンテージを自分で設定するか。残念ながら私は EQ マニアではないので、他で詳細に解説している人が出てくることを祈りましょう。
Ozone 11 Advance 総評
Update 予算がポン!と出せる層はアップデートしていいでしょう。使う見込みがあるのなら。僕はたまーに思い出してあげて使うようにします。わりと全体的にモジュールの負荷は高めなので、多用できなそうで出番がなさそうな気がします。
しかし、たくさんのソフトウェア資産がない人や iZotope が好きな人やその他思惑がある人は是非頑張って使ってみてください。これらはプロ資産向けというより、現代の音楽制作はかなりエントリーやセミプロ人口が増えましたのでそれらの市場向けという、経営戦略的な目線を見据えて、どのように個性的な使い方ができるかを模索してください。
ちなみに、このリンクから購入すると、僕のプラグインブティック実績になるので、是非w
Necter 4
僕はこいつは Ver1 から使ってましたね。Pitch ソフトがついてました。使ってました。
さぁ、Ver4 でなにが良くなったのか、見ていきましょう。
Ozone もそうなんですけど、詳細をイジりたい人にはこの Top UI は意味不明です。ただし、難しい詳細項目を変更できない層に向けた、相対的なパラメータが勝手に連動して UI に準拠する状況変化が起こるものなので、非常にエントリー層に向けた素晴らしい UI だと思います。
まぁ、思った以上に処理は重い。あまりたくさん立ち上げられないのでは? とも思う。
Auto-Level
現代的な楽曲に対しては非常に有用に Auto-Level が実行できると思う。もちろん、声だけをちゃんと検知してレベルが調整される。AI にまかせておけばいいだろう。
ちなみに「耳」のボタンを押すとボーカルだけ抜く事ができる。この抜くは文字通り、ボーカルだけ逆に音を抑える。え、かなり便利じゃない?別にボーカルを抜くということを行うことは稀であるか、無いけど、かなり正確に声だけ抜けるので、歌以外の声の整音に利用できるので、ポスプロの方でも十二分に利用価値があると思う。
そして、Sidechain まである。あまり使い方の具体例が思いつかないけど、Sidechain の信号に Follow して Auto-Level が実行されるようだ。
EQ
特に変わり映えのしない EQ だと思う人も多いけど、Pro-Q3 や Kirchoff EQ よりも優れた点がある。
画像じゃわからないけど、High Pass Filter が可変動作する。これは Pro-Q3 も Kirchhoff EQ でも不可能であり、かなり「声」に特化していることが伺える。
このモジュールはフィルターの可変を行いたい、という特殊なシチュエーションがある人、特に僕みたいな人向けでもあると思う。
完全にアコースティックや録音の状況がベストではない、という現代の制作に寄せてきていると思う。これは iZotope は日本の歌ってみた等、ベットルームプロデューサーや世界の宅録ユーザー向けに製品を作っているのが伺える。 たぶん。
Compressor
個人的には普通に好き。ただ、UI がいまだに慣れないのは、おそらく老害の意見。
割りと好き。AI は Optical を選び、かつ 100ms の Attack と 200ms の Release。そして極めつけは RMS ベースコンプレッサーということで、非常に現代的で私向き。Attackと Release の値は後で変えおきますw
重要なのは RMS ベースでコンプレッサーできること。そして Optical は Ratio 値が固定。俺向き。以上!
De Esser
特に語ることがない…ほぼ使わないので…
このモジュールは高域のコンプレッションを意図している場合は声以外にも利用できるので、バンバン使ってもいいのでは? あとは AI さんが設定したらそこから動かなさい。それがベストかも。
Voices
僕はエンジニアであって、アレンジャーではないので、ハーモニーボイズを足すことはない。
この辺はよく考えてお使いください、ミックスとかの話とは別の話。
Dimension
次元、とかいうモジュール。これらも使う使わないがはっきり分かれるのですが、僕はよく使います。
必要な人は是非使ってください、という感じであまりモジュールとしては、うん、別のもっと好きな LFO 系のプラグイン使うよねって感じで一つのプラグインでまとめたい人はどうぞ。お使いください。
Delay、Reverb
これも、単体プラグインで色々持ってる人は個別で立ち上げたら?
ただし AI が提案してくれるパラメータをパクってもいいんじゃないかな。
このあたりは説明いらないかな…
Saturation
もちろん、Saturation というエフェクトは非常に奥が深いのですが、ここでは音色を少し変えたり、本当に飛び道具的なエフェクトとしてりようすることが前提でしょう。
昔から変わらない、iZotope のサチュレーションタイプが選べます。つまみは少ない!
ハイアッテネート EQ がついているのに High Pass Filter はついてないんだ!もっと自由度があればもう少し使い勝手があったけど、他の Saturation 系がある人は他で代用できるね。
ただ、視認性はいいぞい!
Nectar 4 総評
これで完結する人向け。どちらからというと、今から自分で DTM 始めたり、自分で歌を歌って録音して、調整してみるぜ!って人向け。まぁ、Auto-Level と EQ と Compressor 以外は、おもちゃじゃないけど、一括モジュールとしてついてみます、って感じなもん。
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ん〜 Update 費は回収できるかな〜。