約十年ぶりの更新 fabfilter Pro C3
新年あけましておめでとうございます。
YouTube の動画では Upward ならびに Downward Dynamics についての動画をアップロードしていました。
こちらのブログでもなにかやらないとなぁって思ってたら fabfilter が Pro C3 を発表したので記事にしちゃおうということで、やっていきます。
大多数の有象無象の全く役に立たない記事を駆逐する意気込みを持って Pro C3 を解析していきましょう。
新しい機能だけをさらう
前 Version の Pro C2 は 2015 年に出ているので、10 年以上経っての更新です。
まぁ、ぶっちゃけると Pro C2 から大幅な変更はありません。UI が変わったのと、新しいアルゴリズムが加わったこと、Auto 機能や Side Chain 用の機能や EQ がもう少し便利になったこと、Character という歪みが追加されたこと、Pro Q4 の連携が強化されたこと、くらいです。私は Upgrade が ポンド (£) で 1 万円くらいでしたが、2026 年 1 月現在で スターリング・ポンド が現在 210 円超えているの、やべぇっすよ。ってくらいです。
Auto Threshold
これは初心者とかに便利かなって思ったら、全然そうでもなかった。
この Auto Threshold 機能、全 Auto っていう機能じゃなくて、入力信号の変動が激しい音に対して、入力レベルに応じて Threshold 値が変動するというもので、実は同じ信号が常にやって来るような打ち込み音源だと Compression が安定しない原因になる機能なので、脳死で有効が出来ません。
例えば、私がよく使う別の Compressor の smart:comp っていうのがあるんですが、こいつは 自動で入力レベルを調整 してくれます。ただし Pro C3 は Threshold を調整 します。この違いが出ます。どちらがいいか、というのは、ぶっちゃけ楽曲と素材によるのですが、Pro C3 は Threshold が可変である、という部分を理解してください。
入力レベルが高すぎたり、低すぎたら、Input 信号を調整してくれるので、簡単に言うと、Compression の持続と Output レベルの均一化に smart:comp は役に立ちますが、Threshold が可変する場合は、単純に Input に対して Output が下がり続けるだけです。

入力レベルが可変するタイプは意外と反応が素早くないのでスムースな効きが得られる印象が強いですが、Threshold が可変するこちらは結構動的動作が早い印象で、演奏ディティールを考慮しません。簡単に言うと、常に Threshold が素早く変動し常に Compression が動作するような動きをします。
一見、良さそうな機能に見えますが、非常に難しい判断を要求されます。スレッショルド以下に反応してほしくない、という動作はしなくなるためです。
もちろん、いい意味では常にコンプレッションを動作するので ADSR の変化をスレッショルドに強く依存しなくなる、という部分があります。ぶっちゃけ、応用が難しいので、だから何って思う人が多い動作でしょう。ですから変動が細かい範囲で起きやすい素材に対して Compression を常に実現したい、という場合に向きます。
よくわかんないですよね。
例えば、皆さんは Vocal に良く Compression を利用すると思いますが、Auto Threshold が有効的か、問われると「う〜ん」と言わざる終えない。
どちらがいいか、という問いは音を聴かないと判断は難しいが「歌に合わせて適切な Auto 動作である、とは必ずしも言えない」という話。もちろん、Threshold が固定の場合も「歌に対して適切であるか」は判断が難しいが、Auto の場合は深めにかかる挙動が得られる。またいくつかの場所で過剰に反応しているように見える。つまりは Compression の均一化は達成できる。
つまり、良く言われる「Vocal のレベルの均一化」みたいな動作とは対極にある。とにかく安定圧縮だから信号レベルの一定は達しづらい。よくある Compression の使い方想定ではないので、みんな使い方を間違えることが容易に想像できますね。
私は「Vocal Compression は音量を揃えるもんじゃねぇ!」って散々言っているので、ぶっちゃけよくわからんが、曲にハマった気がするから OK 的な思考でもいいと思う。が、Threshold が Auto だと毎回楽曲になんとなくハマる、とは違う。あくまで入力レベルに対して内部的に動的に Threshold が変動するだけであって、なにか Auto に対して個別の命令ができるようなものではないので注意されたし。多分 Pro Q3 時みたいに Auto Dyn EQ の Threshold の微調整同様に後々出来るようになるんじゃないかなぁ…ただ、なさそうな雰囲気でわからん。
ハマった例としては、細かい信号レベルの変化があるような音の例がある。
例えば信号の Dynamics が非常に希薄になる Master や Bus や音源の場合。以下はギターの音。

正直、音を聴かないとなんとも言えない人だらけだと思うが、Auto Threshold と 固定 Threshold で結構 Compression の掛かりの音色変化がわかりやすい。しっかりと常に Compression を実現しておきたい信号に対しては思う存分発揮する。なんとなく落ち着き具合が Auto Threshold だと出たので、本当に内部動作の定型文化が難しいので、とりあえず Auto で調整してみて、外して確認がいいだろう。
上手く言ったと感じたのは手動だと Threshold が浅くて、Auto だと深めに掛かった後に Auto Gain されている関係とか、だと思うから、プラシーボの可能性が大いにある。だからこの Auto 機能、まだ仲良くなれない。多分 1 年後とかは絶賛しているかも。
自分は最初「固定 Threshold 値」を Auto で設定してくれるものだと思ったんだけど、信号に対して自動的に Threshold が可変するという動作なので、信号レベルに依存しない、安定した Compression を持続したい、という新しいニーズ向け、ということでしょう。
正直、自分でもいい使い方が思いつかなかったので AI に聞いたら、Compression Algorithm を変更した時に比較がしやすいって言っていました。あとゲインステージングのゲインステージングの必要性だとか、とにかく素早い Threshold 設定だとか、細かな最適化操作うんぬん前に Compression を実現することだとか、らしいです。
つまり、エンジニアからすると、難しい要素増えたな、という印象だが、作家などの非エンジニアが手軽に Compression をとにかく実行するための機能っぽい。
新しい Compression Style
Pro C Series は Compression Style を深く理解する必要がある。
もちろん、名前だけでなんとなく想像できる Style を選択することも大いにいいだろう。
Pro C3 では新しい Compression Algorithm が追加されている。
マニュアルを参考にすると…
Style(スタイル)設定について
Style ボタンでは、コンプレッションのアルゴリズムを選択します。Pro-C 3 は、それぞれ独自の特性を持つ 14 種類のスタイルを備えており、大きく 3 つのカテゴリーに分類されています。
■ Modern(モダン)
- Clean: 万能で歪みが少なく、フィードフォワード方式を採用。入力信号に依存して動作が変化する(プログラム・ディペンデント)スタイルです。
- Versatile: その名の通り、どんな素材にも最適に機能します。アタックを遅くするとパンチが出て、速くするとタイトで滑らかな質感になります(Pro-C 3 で新登場)。
- Smooth: 常に滑らかさを保つよう設計されています。低いレシオと長めの時間設定で、音をまとめる(グルーイング)のに最適です(Pro-C 3 で新登場)。
- Punch: 伝統的なアナログ風の挙動。どんな素材でも心地よいサウンドになります。
- Upward: パンピング感のある「上方圧縮(アップワード・コンプレッション)」です。信号がスレッショルドを下回った際にレベルを増幅させます。FabFilter Saturn で絶賛された Dynamics ノブに似ていますが、より詳細な挙動のコントロールが可能です(Pro-C 3 で新登場)。
- TTM: “To The Max”(最大限に)の略。マルチバンド的な処理を施します。上方圧縮と下方圧縮を組み合わせ、静かな部分は大きく、大きい部分は静かに処理します。このスタイルでは、スレッショルドは実質的な「目標レベル(ターゲット)」として機能し、ニー(Knee)によって 2 つのステージの混ざり具合を調整し、パンピングの挙動を形作ります(Pro-C 3 で新登場)。
■ Classic(クラシック)
- Op-El: 自然なオプト(光学式)風の真空管コンプレッション。滑らかで温かみのある質感です(Pro-C 3 で新登場)。
- Vari-Mu: クラシックな可変ミュー(真空管)回路のトポロジーを再現。滑らかで色彩豊かなフィードバック型コンプレッションを提供します(Pro-C 3 で新登場)。
- Classic: ヴィンテージなフィードバック方式。入力信号に強く依存して動作するスタイルです。
- Opto: 比較的反応が遅く、非常にソフトなニーを持つ、よりリニア(直線的)なオプト・スタイルです。
■ Utility(ユーティリティ)
- Vocal: ボーカルをミックスの前面に押し出すのに非常に効果的なアルゴリズム。ニーとレシオが自動設定されるため、適切なスレッショルドを選ぶだけでリードボーカルの調整が完了します。
- Mastering: 透明性を極限まで追求した設計。高調波歪みを最小限に抑えつつ、速いトランジェントを確実に捉えます。
- Bus: バス・トラックの処理に特化しています。ドラム、ミックス全体、あるいは個別トラックに心地よい一体感(グルー)を加えるのに適しています。
- Pumping: 深く、限界を超えたパンピング・エフェクト。ドラム処理や EDM に最適です。
と、まぁこんな感じなんだけど、ぶっちゃけ 普通の人にとって Algorithm の最適選択ですら難しすぎるので、Versatile 以外の選択はしなくてもいいんじゃないか? くらいに新しい バーサタイル アルゴリズム が優秀でした。
で、高度な制御が出来る人は Upward と TTM を使いこなしてください。

上記は Vocal に Upward を実行しているのですが、非常に難しい。通常の Upward Compressor とは動作が異なるため。こればっかりは慣れるしかないが、多分これに慣れてしまったら他の Upward Compressor がめちゃくちゃ使いづらい、となるだろう。
Algorithm は正直全部クセがあるから、自分で覚えてね、って感じなんだけどさ、ぶっちゃけるとそういう意味では TB-TECH Cenozoix の方が Peak/RMS と Feedback/Feedforward の設定が選べたりしたので、簡単にアナログ挙動再現が出来るんだよねぇ…
まぁ fabfilter なりのアナログ挙動モデルがあるんだと思うけど、かなり Attack time は正確っぽいんだよなぁ…Release time は Algorithm でグチャグチャなんだけど、まぁ本物っぽいかって言われると違うんだけど、Vari-Mu って高速動作でこんな安定しないけど、めっちゃ安定するわぁ…っていう別の境地が見える。
Character
新しく「歪みを足す」パラメータが追加された。

まず、そもそも Compressor は歪みます。で、その歪み方は Algorithm ごとで設定しても、若干違いが出ます。
ただし、実機のような歪み方は Algorithm だけでは到達しません。基本的には対称的にしか動作しません。
対称的な動作の意味がわからない人は こちら を読んでみてね。
で、3 種類あるんですが、面白い歪み方します。なんていうか、最近の制作にマッチするような歪み方です。で、この歪み方は全然実機っぽくはないです。なんていうか、fabfilter が設計した Tube の音なんだろうなって感じです。
ただし、全部の歪み方が最近の制作だとハマるように設計されています。
以下は Tube の Hammerstein 特性。

DRIVE 設定 0dB の時の特性を見ていますが、1kHz を境にさっぱり歪まなくなります。明らかに設計した歪みでしょう。
これが現代の制作の味付けにめっちゃ役に立ちます。
実は知らない人が多いんですが Pro C Series って電子音楽向けの Compressor なんですよね。ですので Pro C3 も現代的な打ち込みサウンドに向けた機能ということで、Character の味付けがガッツリそっちよりです。
この Tube、上手くハマると結構、魔法みたいな音に近づきます。ただ、思ってる Tube Distortion ではないです。あと、入力レベル依存で動的に変化するので、Compression Dynamics に追従するので、非常に相性がいいパラメータとなります。ただ、傾向が全く同じになるので、僕は既に歪み方に飽きていますwww
それ以外は非常によくできている機能だと思いました。
歪み方をそれぞれ解説していると、全然話が終わらないので、DRIVE の設定をできるだけ Cold に (Pull) してください。Hot に (Push) すると、いわゆる大げさな Distortion が得られますが、それは別のプラグインで代用するほうがいいと思います。
DRIVE 設定 を Cold 方向に Pull することで、魔法の歪み方を得られる場合があります。もちろん、アグレッシブなパンチサウンドを求める場合は Bright にして突っ込んでもいいと思います。Diode の歪み方は結構リズム楽器に相性がいい場合が多いので (たとえば 33609 も Diode Compressor) 多少知識があると選択しやすくなります。
Side Chain
新しい機能として Host Sync がついた。

あらためて Pro C Series は Electro 系向けの Compressor だと理解できよう。
これは BPM と 拍 に合わせて自動的に Ducking Compression する機能です。信号レベルに依存しない Compression が機械的に実行できるので、使えるときは結構あると思います。
まぁ、それだけ。













