【プラグインレビュー】Pulsar Modular P42 Climax MOD and P11 ABYSS【クーポンPR】
皆さんこんにちは。いつもは プラグインレビューなんてマジでやらない僕 ですが、Pulsar Modular の開発者とひょんなことで仲良くなってしまって、
「最近日本ユーザーの関心が強いから、なにかユーザーに還元したいんだけど」
と中の人が言うので、
「じゃあそれに僕も協力するよ!」
と僕が言いまして、実は P11 Abyss と P42 Climax MOD の 日本語マニュアル が出ることになったそうですので、お祝いというか僕も色々海外メーカーにはお世話になっているので協力のためにも、この一見難しいプラグインたちのガッツリ解説というかレビューをしたいと思います。
最近の歪み系プラグインは本当にヨダレがでちゃう出来ですので、頑張って解説したいと思います。いつもながら上級者皆々様はお手柔らかに。
Pulsar Modular とは
ベースタウンはトルコのプラグインメーカーであり、実はそこまで振興メーカーでもなく、ベンチャーという感じでもない。僕がこのメーカーを知ったのは 2年前? くらいでしたが、あまり有名ではないというか、まだマイナーメーカーでした。ただし、かなり口コミで広まっており、P42 は値段帯は高いが非常に海外では絶賛の嵐だったのを覚えています。
最初はそこまで気にしておりませんでしたが、プラグインレビューをしているある日本人エンジニアがおりまして、そこで「すごくいいんだぁ」って他人ヅテに認識しておりました。ただ、なかなか歪み系のプラグインは手が出しにくいし、それ以外のトレンドが自分にあった。とにかくユーティリティ系を充実させたかった。
今回 P11 Abyss の 1.0.6 がリリースされると、ネット上では絶賛の嵐。私はぶっちゃけコンプレッサーの良し悪しがわからない人間でしたが、歪みの上品さというかこれはプラグイン挿すだけでいいやんけ!っと錯覚する出来に心打たれ、ついに P42 と P11 を導入を決定する運びとなりました。
是非、どこが実用的なのか、上手く伝えられたら嬉しいです。
P42 Climax MOD
まず、Ver 5.0.8 がリリースされました。持ってる人は Update しましょう。
英語が読めない人はその凄さを理解できないかもしれないけど、値段について少々意見があるユーザーもいるようだけど、4.9 というとんでもない数値をレビューで叩き出している。⭐ 1 とかがないのよ。4 と 5 しかない。しかも 100 近いレビューでこれだ。通常は 1 とか書く人いるけど、それすら無い。
それを踏まえた上で、色々今回知り得た情報も踏まえて解説していく。
Project P42
このプラグインの始まりは最初の「DI Box」の誕生秘話まで遡ります。
1958 年に Ed Wolfrum という人が高校生時代にバンドの録音に熱心に取り組んでいましたが、当時安価なマイクというものは存在しておらず、マイクを買う予算がありませんでした。そこで彼は高価なマイクを使わずに楽器を直接録音できる装置を設計しました。その装置はそれまでは不可能とされていたクリーンなサウンドを実現し、これが世界初の DI ボックスの誕生だと言われています。
この DI ボックスの心臓部は Triad A-11/12J トランスと密接にリンクしており、インピーダンスコントロールを可能にするだけでなく、トランスの効果でサウンド全体を広げ、丸く、豊かで、そして生き生きとした、非常に音楽的なサウンドを実現していました。
P42 はこれらの特性をエミュレートするために開発が始まりました。
プラグイン概要
このプラグインで抑えておくべきは独自の Oversampling 解釈と倍音生成の独特さ、そして Lo Shelf と Hi Shelf、Air の項目である。
このプラグインはかなり軽快に動く。CPU の効率は良く、Bus や Master に挿すのももちろんのこと、各 Track に挿しても差し支えない。ただし、当たり前だが、Track、Bus、Master と3 段に渡って適応していくものではないと思う。デジタル上での歪みの扱いは非常に慎重になるべきである。
Oversampling について
マニュアルを見つつ、各セクションについて理解してほしいが、いつも私も発言しているようにオーバーサンプリングについて概要を理解して、それでもオーバーサンプリングを無視できるか、が自分の制作において鍵になると、いくつかの場面で発言してきた。
オーバーサンプリングの有りなしで聴き比べをちゃんとしようよ、というお話。実際にはエイリアシングノイズが実際に実音に影響があるのか無いのかをちゃんと耳で判断できるようになれって趣旨の発言ではあるのだが、あまり効果を感じられないプラグインもあるんだ、某 NEVE 系モデリングの x8 の OS 機能とかね…笑
この P42 では同じように設計者も感じているようだ。
「オーバーサンプリングされた信号が優れていると決めつけないでください」と製作者は言っている。特にモードがかなり独特で、ナイキスト周波数に落とし込むための LPF の種類を Oversampling のモードで決定もできるし、Vintage モードでは高域のロールオフとエイリアスノイズ自体にフィルターを排除することも出来る。つまりわざと濁った音を表現することも出来るということだ。
ただし高域の濁りはほぼ音程感がないので、ロールオフの関係性で Vintage の感じを再現できるということだろうか、実際 Vintage モードは本当に落ち着いた印象を少し与えるため、オーバーサンプリングのためのフィルタ特性は理解して利用していくのが望ましいと暗に伝えているように感じられる。
Vintage モードの音を聞く限り若干重心が下がるので重宝はするぞ。素材によっては Oversampling で調整できるということだ。通常のメーカーは Oversampling についてただ x2、x4、x8 倍という機能を付けているだけで、フィルター設計自体に特色を出す技術者はあまりいない。なぜかと言うとフィルターの設計というのはかなり大変だからだ。
ほとんどのエイリアスノイズ対策のフィルター設計の概念はディティールを保持できるように OS 用の ローパスフィルター設計をするが、このプラグイン上というか Pulsar Modular の場合は、ロールオフをそのまま機能に組み込んでなおかつ破綻しない設計になっているということだ。これは P11 Abyss にも受け継がれている。
やたらむやみに HD モードのオーバーサンプリングを適応するな、という姿勢はかなり好き。HD モードは強制的に 384kHz で動作するモードだ。192 kHz のセッションなら 2 倍、48kHz のセッションなら 8倍のオーバーサンプリングということになる。
Filter
これはあまり出番は無いかもしれないが、Dry/Wet 回路が後段にあるので、パラレルで歪ませたりしたいときには有効的に活用できる。例えばガンガン突っ込んで 5〜10 % だけ Dry/Wet で混ぜるとかね。
どうしても低域の歪みは極端な歪みを誘発させるような設定であればあるほど、どんなプラグインであっても特性上、必ずしもすべてのジャンルに対して音楽的な音になるとは限らない、という問題が起きてくる。であるため、Filter を利用してパラレルで混ぜていく手法が取れる。
他にもマスターのトリートメント的に Filter を利用する人もいるだろうが、他に数学的に優秀な EQ があるだろうから、そちらを使うぞ、という人もいるだろうし、自分はどちらかと言うと、帯域制限、という目線で見ており、大半の人はそういう目線で使うのがいいだろう。
特に LPF については後述の Hi Shelf の利用にも関わってくるが、倍音の構成とトランジェントのディティール低下を防ぐためにも利用できるぞ、ってマニュアルに書いてある。
そんな助言を聞くと試したくなるので試したが、Air や Hi Shelf を少し極端にいじったあとに LPF を利用すると結構直感的かつ簡単にディティールの調整が出来る。もちろん Lo Shelf を調整して HPF を利用するのも可能であるが、このあたりは色々各々ポリシーがあるので、自由にされたし。
Filter Rev. というものがあるが、これは A はウォームでラウンダーな特性で B はパンチとトランジェントに作用するモードだそうだ。B が個人的にはオススメだ。
Lo Shelf、Hi Shelf、Air
これらはかなり音楽的というか、非常にナチュラルにかかる。やはり Bus や Master の微調整に利用できるかな、と考えさせられる感覚だ。一応測定結果を見てみよう。
Lo Shelf と Hi Shelf を有効にするだけで特性が変化するため、厳密に音を聞きつつ調整することをおすすめする。特に中域ディップが発生するので、Hi なのに 150 Hz から調整させる、独特の周波数帯の数値を頭に入れつつ調整しよう。
上記設定でも 40 Hz と 150 Hz で調整しているため、40 〜 150 Hz の間で 1 dB いかないくらいのディップが起こる。これを十分に利用するべきである。ただのシェルビングだと思って使うのはちょっと避けたほうがいいかもしれない。これらのパラメータは極端な音像変化をもたらすため、確実に意図を狙って使っていきたいところ。
Hi Shelf と言いつつ、ぶっちゃけどこの中域を抑えるか、みたいなパラメータなので、ハイレンジを調整したければ Air を使えってことだ。しっかりと設計者の意図を汲み取りつつ使っていこう。
もちろん上記も Air のスイッチを入れただけ。5 kHz 以上が若干ブーストされる。特性カーブをある程度頭にいれつつ Bus で利用していくと個人的にはいいのではと思う。
Saturation
目玉機能。
Input と Output 回路どちらかに有効にできる。これは P42 のダイヤグラム後に歪むか歪んだあとに P42 のダイヤグラムを通過するか、という設定で、基本は Output でいいと思う。
オススメは 10% まで。それ以降は奇数が支配的になるため。
このプラグインの歪みとコンプレッション感は 10% 以下が非常に優秀だと思う。これは個人的な見解であるため、無視していただいて結構です。
自分なりの解釈を述べさせていただくと、歪みが強くなると奇数倍音が支配的になり、もっとリッチな歪みを演出できるプラグインは他にも有るからだ。例えば最近だと KIT Plugins の BB N73 の歪みは本当にリッチだった。1073 モデリングは割と奇数が支配的。ただ、どのプラグインもそうだけど、アナログモデリングの歪みというのは、最近ある人が言ってたけどメガホンみたいな音になるので、音楽的ではなくなってくる。
個人的には 10% 以下を目安に使うことに決めている。
まとめ
公式の Tips, Tricks and Techniques にはこんなことが書かれている。マニュアルにも同じ様なことが書かれているが、もう少し噛み砕いて説明してみる。
ローエンドフォーカスやウェイト、重心に影響を与える方法
まず、Low-end が聞こえる環境かどうか、が鍵となるが、HP FILTER を使って Low が変化したと感じる周波数があった場合、その周波数よりもほんの少し低い周波数に設定すること。例えば 24 Hz で変化や影響を感じたら 22 Hz にするなど。
LO SHELF の数値は HP FILTER の数値の 2 倍に設定する。この場合 44 Hz に合わせる。そして LO SHELF のブーストスライダーを上げていく。フォーカス、つまり低域の見やすさと、ソリッド感、つまり急に低域なのにスッキリ感を感じる値や濁りが消える値を探す。
SATURATION を調整してアッパーエンドの音調整する。これはちょうどローエンドの 2次 倍音の出方を見ろってことで、それ以外には重さやパンチや奥行きや広がりみたいなものを感じて調整しようという話。前述の通り 個人的には 10% 以下推奨。
なににしても、40 日のトライアルがあるので、デモしてみぃ。難しいけど使いこなせると楽しいってプラグイン。自分の耳と対決しながらパラメータを決定できるから、かなり自分の腕に左右されるプラグインだ。心してかかれ。自分との対決ができるプラグインなんてほとんどない。
そして安くないというのがまたとてもいい。
あとは、マニュアルを読むこと必ずオススメする。かなりの有用な知見が書かれているため、これらを頭に入れた上で利用するのが価値がある。英語が読めない? 日本語マニュアルあるぞ。ただ、その日本語も読めないってんなら、どうしようもないが。。。
ちなみにこれを NEVE だと言う人がちらほらいるが、開発者は全く SSL や NEVE 要素を盛り込んでいない。
よくわからなければプリセットから色々学ぼう。プリセット自体も良く出来ているのでポチポチしながら動作や音を理解していければいい。
P11 ABYSS
P11 Abyss Compressor が出たのは 2022 年の 7月。ベータテスト等が始まり。
最初の UI は正直、音をイメージするのすら難しく、正直言うと UI はあまり好評ではなかった。
UI が更新されてからは、誰もが絶賛するコンプレッサーへと昇華した。
Welcome to the abyss.
開発者は言っている。
「深淵にようこそ」
このコンプレッサーは日本語でいうと「沼」に近い意味を持ったプラグインである。ド直球だと「深淵」であり、沼より深いぞ的な意味を連想する。
このプラグインは極限を求めても正確な制御が可能であるか、に挑戦したプラグインである。
1μs のアタックタイムでも精度を維持して安定的な動作をするかどうか、スレッショルドを -50 dB に設定しても安定的に音楽的に反応できるか、まさに今まで誰もが挑戦してきたであろう極限に真正面から挑んだコンプレッサーであり、開発者の執念の塊であるのがこの P11 Abyss である。
設計者が意図するもの
今まではアナログと言う制限があり、VCA、Opto、FET、Vari-Mu など、それぞれが特色を持ってコンプレッサーを利用してきたが、この P11 Abyss でそれらの境界を無くてしまおう、というような意図が垣間見れる。
実際に利用すればわかるが、極端なパラメータを設定しても本当にディティールが崩れにくい。
完全に意図通りにアクセスできるそのパラメータは本当に素晴らしく、パラメータと出音が完全にリンクしていく。これほど楽しいコンプレッサーも珍しい。
今更コンプレッサー部について語るのはやめる
このコンプレッサーのいいところは極端な設定をしてもディティールが崩れにくいことだと説明した。
今更パラメータについて語るのは正直おこがましいので、1μs を利用する価値があるのかどうか、については正直マスタリングエンジニアに聞いてほしい。私個人としてはマスターコンプレッサーであっても 1ms に設定することは基本稀で、ジャンルによりけりではあるが、10ms くらいは確保したい。
リリースについても 2.5s まであるので、昔の Vari-Mu 系の再現も可能だ、的な話で、このコンプレッサーを理解するには、今までのコンプレッサーをすべて理解しているという前提で行かなくてはいけない。
VCA の名機の感じ、あの有名な FET の感じ、名機といわれる Opto の反応速度の感じ、Vari-Mu の独特の戻りの感じ、等々、かなりの知識や経験がないと行けないのは間違いない。アナログを通っていない世代にこのコンプレッサーの凄さを語るのは伝わらないかもしれないということだ。
ここでは私がコンプの実働部以外にフォーカスして話したいと思う。
とても便利なオプション
コンプレッサーにとって便利なオプションが付いている。アナログモデリングだと、忠実なデザインモデリングをしなくてはいけない制約等あったり、便利な機能を付けることが出来ない場合もあるんだ。みんな知らないかもしれないけど。
ここではコンプレッサーには珍しい Δ (デルタ) の機能があったり、Clipping Stage のダイヤグラムを変更できるオプションがあったり、オーバーサンプリングのオプション、そして MOD という「開発者のオススメの回路付加を提供するよ!」ボタンがある。
SOUL はそのまま「魂」って訳していいと思うんだけど、100 〜 0 の間に、アナログでは表現できるけど、デジタルだとなかなか表現できない領域を感じられるって言ってるんだ。正直「ちんぷんかんぷん」だ。
100 はできるだけアナログを再現したパラメータのようで 0 になると完全にデジタル挙動になるそうだ。測定したら違い等が見えると思うけどそれは倍音の出方以外にちょっとよくわかんないんだ。
MOD と SOUL は本当に急に音が良くなる、みたいな印象があるので調整してみて遊んでみよう。
細かいところで HPF や Linear、Balanced、Sin3dB、Sin6dB 等のオプションがあるけど、僕には難しすぎて、Linear か Balance 以外選択出来ないです。ちなみに Class-A HPF は 20Hz 以下を減衰させます。
プリセットが優秀
この開発者は本当にすごいと思う。
一つのプラグインであらゆるアナログコンプレッサーを再現する、という野望に沿ったプリセットがあって、それら本当に挙動が似ているんだ。
プリセットを読み解くだけで、再現元の動作の詳細が見えてくる。
たとえば FET76 のプリセットなんだけど、動作的に非常に酷似しているんだ。パラメータ自体はそこまで本家っぽくはないのだが、出音は「おほほ、こんな感じこんな感じ (笑)」って感想を抱くだろう。
プリセットとモデリング元を理解してパラメータを読み解くと、もっと深く各コンポーネントに対する理解が深まると思うので是非聞いてほしい。
独特な PSI ノブについて
PSI はポンド・スクエア・インチのことで圧力を意味する。馴染みがなさすぎる単位だね。
0 〜 10 を設定でき、数値が大きいほど圧力が大きいという意味になり、10 だと強く確実に叩く感じ、0 に近づくほど緩やかに、繊細で透明な印象を与えるパラメータだそう。
PSI は、Abyss が様々な ハードウェアコンプレッサーの動作をエミュレートするための重要な機能 だそうで、ノブを 0.1 ステップ動かすごとにアタックとリリースの特性が変化し、コンプレッションのフィーリングに影響を与えるとのこと。
目を閉じて調整し、トラックの性質や他のトラックとの関係にどのような影響を与えるか、聴いて感じてみてください。とのこと。
大好きな Clipping
クリッパーをこよなく愛する私であるが、求めていた Clipping がここにあった。
自然、効きがよく、音楽的、そして完全にピークを削る。
説明できないから、聞いてくれ。沢山のクリッパーを利用しているが、答えがここにあったかもしれない。
たまにクリッパーについて勘違いする人がいるけど、オーバーシュートの関係上最大 +0.3 dB の誤差が出る。True-peak の制御のために使うものじゃないですから勘違いしないように。ちなみに、オーバーシュートについては問題になることはないでしょ? と製作者は言っている。私も同意見だ。
私が熱く歪みについて語っている有料記事があるので、クリッパーについて深く理解したい人は以下の記事をお読みください。
POST セクション
EQ のセクションは P42 の SHELF の考えと似ているが、これを利用する価値はものすごいあるかもしれない。
なぜかというと常に値が揺らいでいるからだ。これは測定を行うと観測できるのであるが、EQ をオンにすると、常に値が揺らぐのがわかる。アナログっぽさというのは常に揺らぎであるのだ、と開発者が教えてくれる。
EQ 自体の特性はアナログ系の非常に Wide Q な感じで、SHELF 利用の場合は P42 と近い。中域ディップを考えて EQ するか Peak Q で多少狙ってブーストするか、等。積極的な音作りというものではなく、ガッツリ狙っていきたい場合は別の選択肢がたくさんある。
この EQ に関してはかなり研究が必要であるため、現時点では語れなさすぎる。特にサイドチェーンモードでもこの EQ が利用できるのだが、本当にコンプレッサーの実働に変化を与えるパラメータであり、全然傾向がまだ個人的には掴めていない。
これらのパラメータを完全に支配できるのは、本当にアナログ機材を常日頃からこねくりまわしている層に限られるものである、と、自分のレベルが以下に低いのかを突きつけてるパラメータだ。私は全く音楽について理解できていないのだ!
酸素 Dioxygen
ネーミングが日本人にはよくわからないと思うが、意味合い的には「神の息吹」みたいな感じだ。
命を吹き込む、みたいなニュアンスのパラメータ。
これが意外に聞くんだ。
倍音の構成を微調整できるような感じでかなり使い勝手がいい。
ほんとに自然に明瞭感を調整できる。便利。
とにかく倍音の制御に関連する項目の研究度合いが凄まじい。
トランス
実は僕、あまりトランス歪みの音が好きじゃないんだ…
だからあまり利用してこなかったんだけど、P42 を開発した Pulsar Modular さすがである。こちらもナチュラルなんだ。これでトランスカラーが強いデバイスの表現に一役買っているんだろうな…
この部分は自分はトランス博士でもなんでもないので、他の人に説明を譲ります。
一応だけど、入力トランスというのは何ていうか、重心関連に影響を及ぼすと勝手に思っています。出力のアウトプットトランスというのは完全にレベル制御に関連するもので、いわゆるちょっと極端な歪みの制御に利用できる。
このあたりは私はまだまだヒヨッコのレベルであるため、トランスマイスターたちにどう使うべきかの話は譲らさせていただきたい。
MAIN OUT
この設計もかなり秀逸。
説明不要でしょう。DRY/WET の前に MAIN OUT を持ってくるか、DRY/WET のあとに MAIN OUT を持ってくるか、を設定できるし、賞味この DRY/WET を 100 % 使うってレベルで必須。
自分は DRY 80% 以上で使うことがかなり多いぞ!
つまり、自分はこのプラグインを非常に薄く使っている事が多いってことだ。
まとめ
個人的にはコンプレッサーよりもその自然な歪みの巧みな使い方に脱帽である。
他のコンプレッサーを過去の物にしたと発言している人の意味がわかる。
こちらもマニュアルを熟読するに値する内容があり、現在日本語マニュアル作成中とのこと。ただし、完全に意図的な詳細を確認するには英語のマニュアルも平行して読んだほうが良さげ。
スペシャル
今回、日本向けに日本のユーザーへの感謝を込めて 35% OFF のクーポンが発行されています。2023/03/16 〜 3/23 19時 までの間、「TOTORO」のクーポンコードで割引が適応されます。
今すぐショップにアクセスだ!!!
※ 現在はこのキャンペーンコードの適応は終了しています。
そして、今回なんと私のために、開発者の Ziad Sidawi (ジアド・シダウィ) さんに P11 Abyss と P42 Climax MOD について語ってもらった。
開発者インタビュー
なぜなら、プラグインの世界では 20 年の進歩にもかかわらず、ハードウェアと比較することができる制作物がなかったからです。壊したツールで何かを直すことはできないのです (意訳: DSP も完全ではなく別のアプローチが必要であるというニュアンスだと思う)。経験豊富な DSP プログラマーを雇ったところで、彼らは過去 20 年間やってきたことをやり、何年もかけて蓄積したコードを再利用して、同じ音を提供するが、新しいインターフェースで提供するかもしれない、というのが私の推論だ。だから、私たちは新しいスタートを切り、既成概念にとらわれない発想が必要だったのです。
彼が言っていることは、あまり日本の音楽では重要視されてこなかった部分かもしれませんが、グルーヴと初期トランジェントに関連する項目は P11 と P42 で再現出来ます。
Ziad さん、ありがとうございました!