【有料記事】業界標準のレコーダーについて語る。
プロオーディオ業界に身を置く方なら、知らない人はいないだろう?、(日本国内?) 業界標準の 2ch レコーダーがあります。
TASCAM DA-3000 または KORG MR-2000S
プロの商業スタジオには必ず? と言っていいほどマスターレコーダーや CD レコーダー、放送機器用の HS シリーズのレコーダーが置いてあります。
今回はマスターレコーダーについて個人的なことをつらつらと語る回です。少し込み入ったお話をする予定ですので、今回は有償記事回となります。
マスターレコーダーとは
実際には僕はあまり利用したことはありません。2012 年あたりから本格的にエンジニアとしてお給料をもらいましたが、スタジオ勤務でマスタリングしなくちゃいけない…ってなったときに全く知識がなくて、知り合いに相談して DA-3000 を利用したような記憶があります。
(たしか EP を作るときに初めてマスタリング込みで DDP 納品したのですが、多分 2013 年か 2014 年だった気が。とりあえずアナログ通して DA-3000 にアップサンプリングして戻して Wavelab 8 でリミッターと RMS 揃えてディサーとダウンサンプルして DDP 制作しましたね。)
通常マスターを作る作業 (TD) というのは、Final の 2mix をレコーダーに落とし込むときに利用します。所々色々考えられる事柄がありますが、当時はまだ、24-bit/48kHz が絶大な業界フォーマットでしたので、マスタリングに持っていくときに、アナログ出しして、高サンプルレートで TD するためのレコーダーとして活躍していたのではないでしょうか。
あとは、DSD 納品や高サンプルレート納品 (たまに偽レゾなんて言われた) のときに活躍したと思います。予算のあるマスタリングスタジオなら AD 側と DA 側で別々のシステムを動かす、なんてことはもう出来た時代ですが、TD のスタジオは Pro Tools が基本 1 台しかありません。(各ルームに 1 台という意味)
そのため、内部 TD を行おうとしてもアップサンプリングは事実上不可能であったため、結構マスターレコーダーを利用している現場はあったと思います。
では TASCAM DA-3000 とはどんな機材なのか
今でも、エンジニアさんでマスター納品するときに落とし込み用やアップサンプリング、またまた、DSD 納品のために利用している人は多いと思います。
また、音質向上の為に導入している作家さんをたくさん見てきました。
非常に人気がありかつ、利用用途が多岐にわたるレコーダー製品だと思います。
軽く製品紹介してますね。
最大で PCM 192kHz、DSD 5.6MHz のハイサンプリングが可能
DSD を安全にレコードできる機材はこれしかないのではないでしょうか。この DSD 録音の機能だけで十分かもしれません。しかも SD カード、CF カードに記録できるため、追加のコンピュータ制御は必要ありません!
デュアルモノーラルサーキット
通常の DA は 1 Chip でステレオ 2ch または 8ch の出力を制御しますが、この DA-3000 はなんと「デュアル DAC 構造」を採用しています。つまり、2つ の DA チップを基板上に組み込み、LR で一つずつ、贅沢に回路を使っているということ。これを TASCAM では「デュアルモノーラルサーキット」と呼んでいるようですね。
DA チップは BurrBrown PCM1795、AD チップは BurrBrown PCM4202
こちらも評価の高い、BurrBrown のチップで、マスタリンググレードコンバーターにはよく採用されている印象があります。
電源部と高精度TCXO
通常、こういった機材はスイッチ電源となり、音質への影響がありますが、EI コアトランスを利用した電源部があり、電源にもこだわっています。また、クロックジェネレーターには精度 1ppm を誇る TCXO を採用してデジタル部分の制御にもこだわっています。
まとめ
その他にも設計にこだわった、部品選別等いろいろ素晴らしい要素を含んだデバイスですが、なんとその価格が安い!今はかなり入手困難ですが、10 万円ちょっとで買えたんです!
今回マスターレコーダーについて語る訳
KORG も MR-2000S という素晴らしいマスターレコーダーを販売していたわけですが、KORG は結構 DSD 押しでした。TASCAM DA-3000 も DSD 押しなのは変わりませんが、こちらのほうが遭遇率が高かった印象があるので、こちらを語ります。
といっても KORG の製品も大まかな設計思想や構造は同じなのでそこまで差異のないお話ができるのではないかと思います。
マスターレコーダーを現役で利用しているユーザー、またはこれから導入しようとしているユーザーに向けた語りをしたいと思って、この記事を書いています。
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