オーディオインターフェイスを理解する【第二部】どこが “アナログ” かを理解する

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オーディオインターフェイスを理解する【第二部】どこが “アナログ” かを理解する

オーディオインターフェイスを理解する【第二部】どこが “アナログ” かを理解する 

第一部 で言いましたが、インターフェイスの内部構造的に、使用する側がテコ入れを行うことができる範囲があります。それが インターフェイスのアナログ部を間接的に入れ替える ことです。

簡単なおさらい


サクッとインターフェイスの構造をおさらいしましょう。今回はマイクプリ搭載型のモニター出力あり、でお話していきます。

よくあるインターフェイスの自作イメージ、ちょっとイラレで頑張って作った。

信号入力の場合、マイクプリやラインインプットがあって AD 変換されて DSP とか FPGA を通過したものが、DAW に記録されます。出力の場合はその逆で、DAW の信号が DA 回路でアナログ信号に変換されてモニターアッテネーションを経由してスピーカーなどに出力できます。ラインアウトの場合はラインアウトレベルに調整されて任意の出力レベルでアウトプットできます。詳しいことは理解しなくていいです。

どこをみてアナログの判断をするか?


ここで、使う側が間接的に入れ替えができる部分があります。マイクプリ です。「そりゃ外部マイクプリ使えば音変わるとか、そんなこと分かってるわ!」って言われるかもしれませんが、結局、インターフェイスに載っかってるマイクプリなんてたかが知れてます。

インターフェイスに載っているマイクプリは、値段相応、スペックである程度音質がわかっちゃうんですわ。

※ 外部のマイクプリを使うと言ってもちゃんとラインインプットしてくださいね。でも結局、インターフェイス自体のアナログ設計に引っ張られる のでいいマイクプリ買う前にいい AD に変えましょう…

何故かと言うと、インターフェイスのマイクプリは 1 ほぼ 100% IC チップ使ってゲイン調整 してます。同じ値段帯でマイクプリのスペックシート見て、大体同じ値なら同じ IC チップだと思ってください。”音質の差” なんてぶっちゃけ無いようなもんです。なので同じ位のグレードのインターフェイスはどれを選んでも、だいたい同じような音の傾向になります。同じ値段帯で性能差は殆どありません。

ハイグレードでもゲイン調整幅が狭い (+10dB から調整するやつはドラム録るの無理…)、PAD やハイパスがついているタイプ、アナログのツマミでゲイン調整するタイプは基本音質を期待しても無駄。どうせ信号増幅は IC チップが行うのでデジタル制御でゲイン調整できる方が信頼性が高い。最近は PAD Free なマイクプリも増えてきたのでそれがオススメ。

なので、最近はトランスを載っけたもの、1 ディスクリート回路をインターフェイスに内蔵しちゃったものまで登場してきました。トランスはマイクプリに倍音が加わる系なのでぶっちゃけマイクプリに薄いエフェクト掛けましたレベルです。ディスクリート回路をマイクプリに搭載したインターフェイスは比較にならないレベルで音が違いました。

意外とアナログ回路だと思われていない箇所を知る


もう一箇所だけ、インターフェイスのアナログ回路で間接的に入れ替えることができる場所があります。おそらく大多数の人がこれってアナログ回路なん? って思っていたり、まず気にしていないか、知らないか。

そこで、ちょっと難しいお勉強の時間。ただ、覚える箇所は一箇所だけでいい。

インターフェイスのインプットの内部構造の簡略図。
点線範囲がユーザーが間接的に入れ替えができるアナログ部分
インターフェイスのアウトプットの内部構造の簡略図。
ここで言うアンプはヘッドフォンアンプ等

モノすご~く簡略した図なんですが、内部構造を少し知ると、どこで他人と音の差を作ることができるかが、理解できます。点線部が間接的に入れ替えが可能な部分です。

そう、ほとんどの方にとっては未知の領域 クロック です。

これ、アナログ回路なんですね…、外部クロックを使うと音がよくなる、音質向上に繋がるとか、よく聞きますけど、難しいことは抜きにして、なんで音質向上に役立つのかを言います。

アナログ回路 だからです。

以上。説明終わり。

最初にプリアンプを説明した内容と同じで、インターフェイスの内蔵クロックは出来合いのチップか、水晶使っているものありますが、グレードが一緒ならクロックも大体性能が一緒です。

ただ、グレードが低いとクロックは外部入力ができません。また、外部クロックは内部クロックの性能を補正してくれるだけで、結局 内部クロックのレベルに引っ張られるので、最初から内部クロックの性能が高くないと意味があまりない…という性質があります。

何が言いたいかというと、いいマイクプリといいクロック積んだインターフェイスを選べ


長々、いろいろ説明してきましたけど、結局外部機器を買い足すよりも、最初からいいマイクプリとクロック積んだインターフェイス買えよって話ですよ。

外部クロックだって外部マイクプリくらいの値段します。2ch ディスクリートプリとマスタークロックで 総額 30万円 は必要になります。鼻っからいいプリとクロック積んでるヤツを選べ。それが結論。

もちろん開発者は限られた製造コスト内で最高の設計と最高の部品を選んでいるので、安いから駄目ってわけじゃない。今の低価格帯のインターフェイスは昔に比べて非常に質がいい、これから中華製のすんごいヤツでてくる。

最終的に出力アンプ (スピーカーとかヘッドフォン) をいいものに変えれば、私達がインターフェイスを使うにあたって音質の向上に関与できる部分はありません。

第三部 で、総合的なお話をしたいと思います。

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  • 書いた人: Naruki
    レコーディング、ミキシングエンジニア
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