峰電 – PORT Filter レビュー

Learn More
峰電 – PORT Filter レビュー

峰電 – PORT Filter レビュー 

前置きとかいらんやろ。さっさとレビューする。

製品については以下。

PORT Filter

一様概要


USB に関連するノイズを消すモノ?

経験ある人はわかると思うけど、USB 関連の製品はノイズの原因になるため、USB 経由でノイズが乗ることは用意に想像できる。それらに対しての効果であるかは定かではないが、例えば、USB 給電で動く製品がある場合、それらに影響して音質の変化を感じることは容易に想像できる。

ちなみに USB は元来非常にデータのやり取りについては、結構問題があることは昔から知る人は知る事実。リアルタイムの再現性みたいなものについては別記事で解説しているので、各個ご確認を。いちいちリンクは貼りませんのでご自身でお探しください。

データの信頼性と、リアルタイムストリーミングの信頼性はまったく別物であるため、それらを理解していないと、以下の説明は全く理解できませんので、ご了承ください。説明はしません。

USB のデータアナライズ関連に極端に影響を及ぼすものではない、と個人的には思いますが、USB の電源系統に影響を及ぼすことでしょう。その影響で USB でつながっている関連製品に影響を及ぼすものかと思います。特にバスパワー系、これは影響あるでしょう。

実験


Interface から音を出力し、AD Converter に直接入力させます。

ただ、残念ながらケーブル、コネクタ等、アナログを通過する関係上、完全厳密な実験ではないが、ほぼ無視できる状況で実験を行った。

今回は特にコンピュータには負荷かかけず、なるべく再生の再現性があるように、DAW 上で有効にしたのは Original のトラック、Rec Track 2 ch 分と Master Track オンリー。

つまりリアルタイムの再生再現性の差異が出ないように配慮したわけです。


システムの状況

  1. Wav File を DAW 上で再生
  2. Filter を利用せず、Interface out から AD Converter へ直接入力
  3. Filter を利用して、Interface out から AD Converter へ直接入力
  4. 2 と 3 のデータの違いを観測する。

利用システム

  • データは Thunderbolt 接続されている SSD (RAID) から読み出し
  • 利用した I/O デバイスは Mac と Thunderbolt 接続であり、Main Output からアナログ出力
  • そのアナログ出力をそのまま AD Direct へ入力
  • DAW 上でその信号を録音

利用方法

USB のハブを利用しているので、その端子にこの Port Filter を挿して、挿していないときのデータと A/B の比較を行う。ちなみに Audio Interface は Thunderbolt 接続を利用。なぜなら USB を利用して私はシステムを現在利用していないから。

ちなみに私が普段使いの AMARI というデバイスは USB 3.0 規格だが、信用ならんので AES/EBU または S/PDIF 経由で利用しています。また最近の Mac ユーザーは USB-A の端子がある Mac をほぼ使ってないだろうから少々実験は省いた部分も多い。Windows 上では確認していないが、ほとんど同じ状況を再現できるでしょう。Mac ユーザーの大半が USB-C ハブもしくは Thunderbolt Hub 製品経由で USB-A 製品を利用しているだろうから、勘弁して。

実験結果


ここに今回利用したデータを置いておくので各自チェックしてください。

利用したのは Royalty Free の音源です。

Dropbox Link よりご確認ください。

共有リンク

中身は 32-bit float /48kHz 信号で信憑性はかなり高いデータであると個人的には言える。

  • Insert_PORT-Filter.wav (PORT Filter を使った信号データ)
  • Non-Insert_PORT-Filter.wav (何も利用していない信号データ)
  • Original.wav (オリジナルデータ)

Invert experience Folder

  • Invert_Experience_each_Filter.wav
    (⚠ 視聴音量注意! PORT Filter を使った信号と使ってない信号のキャンセレーション + 60 dB 済)

視覚チェック

一枚目の画像は全く参考にならない、なぜなら FFT の描画はリアルタイムで毎誤差が描画されるため。

ただ、一応チェックはしておく。リアルタイム描画のため信用はできないPeak Hold 値。

この図は参考にはなりません。

上記画像は参考になりませんが、一応リアルタイムの FFT を観察。これはご自身で確認したい人向けの良くある FFT 比較の間違った確認方法のための参考として掲載しています。リアルタイム FFT は誤差が出るので厳密な比較には全く役に立ちません。

以下の画像は解析した情報を表示した Stectrum である。これは信用できる値。ほぼ差異はこの FFT 上では確認できない。

解析した FFT の値

PORT Filter を使った信号と使っていない信号では測定値としてスペクトラムの値は全く同じを表示している。もう少し厳密な比較が必要そうだ。解像度が高くてもチェックで差異がなかなか見つけられない場合もある。


試聴チェック

音の評価?

試聴した感じ、正直違いがわからないので、視聴者に丸投げしようと思います。

な〜んか 中域 の張り出しが強くなるような…?


Invert Check

毎回 Invert を利用した信号チェックは素人がただ単に Invert (いわゆる逆相チェック) で比較試聴して「差異がない」と結論づけるのは難しいと言っているが、今回は条件が単純なため Invert 試験を実施、条件的に信用性もかなり高い。特に外部的要因は PORT Filter 以外考慮しない条件であるため。

Pro Tools は最近全く信用できないので Reaper でチェック。Reaper は Track 自体に Phase スイッチが実装されているので、実行。確認用に Invert_Experience_each_Filter.wav のデータを確認してほしい。

データは公開されているので、各自で Invert のチェックを行ってみてください。ちなみに Invert の仕方で書き出し Float 差異が生まれる可能性は大なので、Invert するにしてもデータが書き換わらないと自信がある方法でやろう。


詳しい考察

以下厳密なチェックの様子。

データを 1000 倍にしているため、実用的なレベルで差異は知覚出来ないレベル

Invert Check のデータを視聴してみてください。ほぼ 24-bit Integer 下限ノイズが聞こえる。ノイズに埋もれない程度に割とオリジナルに近い信号が確認できる。そして音を聞いてほしい。

音を聞いた人なら理解できるだろうが、これは基本的には LR でただ音量が割と周期的に動いてるだけある。PORT Filter を指すことによって、意図しない微細な音量変化が発生している。しかし、1000 倍して、RMS 値で -25 dB 程度、現実的な Total RMS は換算 -100 dB 以下なので、この状況では変化を知覚出来る場合、人間じゃねぇレベルの知覚の持ち主である。

ところどころ Impulse Noise が確認できるが、これは USB のプチノイズだと思われる。残念ながら、このノイズは Insert_PORT-Filter.wav に混入しているノイズでスペクトラムで確認できる。つまり PORT Filter はノイズを混入させる可能性がある。誠に残念だ。(たまたま Filter 未使用の場面でノイズが発生しなかったと考えるにはノイズの発生分布としては想定できない。)

各自で確認してほしいが、ピーク値で -4dB 程度のプチノイズが PORT Filter を利用したファイルに混入している。まぁ、無視するか、聞こえないからわからなかった、等はあなた次第です。

結論


上記過程の環境では、この製品の影響で知覚できるレベルで出音は変わらない。またノイズの原因になる。

以上。

っておい。

実験状況が非常に極端構成なので、以下を追加で実験する。


追加の検証

USB Bus-Powered で動作する Interface を利用した。もちろん Main Output から AD Direct であるため、極力誤差を考慮しなくていい状況にする。Interface も PORT Filter も USB Hub 経由で接続する。こうすることによって、USB に関連する問題の影響を受けやすくしている。

USB BusPowered Folder

  • Insert_Filter.wav (PORT Filter を使った信号)
  • Non-Insert_Filter.wav (PORT Filter 未使用の信号)

InvExp Folder

  • InvExp_each_Filter.wav (上記のファイルのキャンセレーション信号)

視聴と検証結果

結果は色々考えさせられる状況を示唆している。

打ち消し合う周波数が派手に動いている。なんの影響であるか Invert で確認しても原因はわからない。

上記は Invert_Experience_BusPowered_Filter.wav のファイルのスペクトラム情報である。

⚠ なお、信号は 0 dBFS を優に超えているので、視聴する際は Gain を下げてください。

正直、謎の割と周期性のある打ち消し合いの原因は良くわからない。音も実際に聞いてほしいが、前半は打ち消し合いが不定期で起こる。つまり、Phase や音量が常に変動していることを示唆している。これは Thunderbolt デバイスを利用したときと同じ状況であるため、PORT Fillter が何故か音量制御に影響を及ぼすことが高い確率で示唆できる。

特に問題なのはスネアの同期性のなさは半端ない。スネアでは極端なピークが Invert Check 時に発生しており、打ち消し合いが弱く 0 dBFS を超えてしまっている。これは厳密な時間制御と音量制御が Invert チェックでは不可能であることの裏返しでもある。

ただ、音を聞く限り Original の信号に近いのは Non-filter つまり、PORT Filter を利用していないときのほうが Original Detail に近い様に感じる。

そしてなぜか 1:05 以降後半のパートは誤差が大きくなり、これらは Filter の効果であり、それはかなり不規則に現れるということだろうか…? ちなみに高域のディッピングはデバイス側のフィルタリング機能が強く作用しているものと思われる。

多分、ただのコンデンサ回路だから瞬間的に音への影響はありそうで割と安定しそうだが、変動するなにかがあるのでしょうか。

このような周期性を持つ信号特性としては、 USB の DC のスイッチングに関連しそうであるが、私は詳しくないので、誰か補足してください。


最後に

USB Bus-Powered 系を利用している方にとっては、なにかしら効果を感じられるかもせません。ただ、残念ながら検証結果からは、全面的に肯定的なことは言えません。できるだけ避けるべき事象が確認されているためです。

ただ、プロユーザーの HDX や Thunderbolt 環境の人はあまり関係ないかもしれません。というか使わないほうが影響が出ないので精神衛生上いいという判断は大いにあります。

今回も差を出すために USB 機材の検証環境としては少々劣悪な状況で利用したので差異がわかりやすくなっています。I/O も PORT Filter も USB Hub 経由でつないでいます。

ちなみに、オーディオインターフェイスを USB Hub 経由で繋ぐのは基本的にはやめたほうがいいです。これはどのメーカーも推奨はしていない繋ぎ方で、できればコンピューターに直接接続するようにと促しています。

Windows の場合は USB ストリーミングの状況改善のためにいろいろな技がありますが、いちいち説明してられませんので、私の過去記事をお読み頂ければ…

PORT Filter 自体を利用するか利用しないか、については割とシビアに考えるべきシチュエーションは多そうです。まぁやっぱボーカルを混ぜる時、難しくなる気がするんだよなぁ…

  • 書いた人: Naruki
    レコーディング、ミキシングエンジニア
    お仕事のご依頼詳細は こちら から
    ミックスレッスンの詳細については こちら から
Contact Form






    SNS Share