オーディオオカルトの話

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オーディオオカルトの話

オーディオオカルトの話 

今回は「いくらでも差異を作り出せる」オカルトの話をします。

これは私が言っていることが正しいとか間違っているとかではなくて、オカルトの要素で差異は作り出せる、という話をするだけで、記事の内容を 信じられない人は信じなくていい です。ただ単に観測できた事実を述べるだけで、あとはご自身で好きなようにお考え下さい。

実際には「オカルト」という表現も間違っており、何かしら影響を与えている可能性が考えられる、何かしらの影響が捨てきれない、という話をするだけで、心霊現象的な意味合いのモノではありません。

基本的にオカルトと言っているのは単に確たる説明が出来ないモノ全般の現象のことを指し、基本的に本気でオカルトに関連する事柄については話しません。そういうのは多分無視でいいです。

僕たちエンジニアは変数にアクセスできる場合はそれはもちろん試行錯誤したり吟味したりしますが、僕たちがその変数にアクセス出来ない場合は 考慮しない無視する 必要性があります。

例えば、ラウドネスノーマライズの機能が自動で ON になるので、OFF にして聞いて下さい! とか言うのではなくて、ラウドネスノーマライズされる前提で曲を仕上げるとか。相手に変数の指定を求めるのはこの場合は最悪であると考える事ができます。

ただ、音楽の世界にはオカルト地味たものは確かに存在します。だたし盲目的に (オ)「カルト」な状態になってはいけません。もちろん既に境地に達した雲の上の存在の人たちは是非オカルトに浸っていただいて構いません。ただ私は業務上オカルトを「オカルトです」とは言えない立場なので…

私はここでオーディオ (オ) カルトというオヤジギャク地味た言葉を作りました。オーディオカルト。地味に一人で使っていきます。

よくある DSP 処理と Native 処理の違い


たまーに湧き上がって議論される、DSP 処理のプラグインと Native のプラグインでは音が違う問題。

これは実際には説明がつきます。ただし、可能性として限りなく考えられる原因ですが明確な答えとはなりません。

DSP と CPU では実際には同じプログラムが動いている状況ですが、DSP と CPU では同じ処理構造であるかと言われると、違う場合があります。というか違います。CPU はそもそもマザーボード直付けですから…

例えば、UAD-2 Plugin の場合は UAD-2 の USB や Thunderbolt Satellite や UAD-2 の PCI-Express など物理接続が異なる場合があります。つまり、転送方法が違うという物理的な違いもあり、色々複合的な問題が絡む「可能性」があります。(セパレートされているということはそこに制御ソフトウェアも絡むわけだし…)

また、ほとんどがプラグイン処理の構造 (CPU の開放や過負荷に対する挙動) に於いて違いを感じる場合があるので、現在はあまり議論されなくなりましたが、Online Bouce と Realtime Bouce で音が違うように聞こえる、というモノも、実際には普通に起こり得る事柄で、これらはコンピュータのタスクの優先度に関連して音が変わって聞こえる可能性がある事象です。

10 年ほど前はまだ Pro Tools が TDM という方式でオーディオを処理していた時期があり、この当時 48-bit Fixed 処理 (浮動小数点処理じゃなかったのだ!) だったのでしたが、Pro Tools の Version Up の影響でネイティブプラグインが 32-bit float 処理に対応してしまったがために CPU 処理の RTAS プラグインと DSP 処理の TDM プラグインで音が違うというのは本当に当たり前でした。

また、すべての DSP 処理と CPU 処理が実行コードが一緒でも実際には最適化の問題やデコードやコンパイル等の処理構造が異なるので出音が変わる可能性は十分にあります。また、DSP は FIR フィルタや 高速フーリエ変換などの計算コストが低いため、ある種のプラグインではやはり過負荷の問題が音に現れる可能性が示唆出来ます。

これらは耳で感じることができるけど、観測出来ないモノかもしれません。ただ、超高サンプルレート処理ではもしかすると違いを簡単に観測できる可能性があることを示唆しておきます。

OS の提供する機能の影響


リアルタイムの再生に於いては例えば CPU のマルチタスクに関連する OS 側のサービスによってオーディオドライバの割り込み処理にちょっかいを掛けて再生時に異なる波形計算を行うことは普通に起こりうることで、症状が顕著に現れるとノイズとして観測できる場合があります。

また、バックグラウンドのネットワーク処理 (Wifi とか個別のタスク) などはリアルタイム再生に何かしら影響を与えることは割と有名で、Windows の場合、OS の視覚効果の影響や USB の消費電力機能の影響で USB ストリーミングの情報が変化するということは、知っている人は知っている事柄です。

masOS の場合、初期 Touch bar の機能が内部の音声再生に悪影響を与えているという報告もあり、実際に Touch bar の機能を OS から完全に停止させると症状が改善するという報告もありました。つまり DAW 等利用して、たくさんリソースを利用している場合、実はノイズが混入した音を聞いているけど、割と気づけてない、なんてことは普通に起こっていることなのです。

これは DSP や CPU の過負荷の影響、メモリやストレージの読み書きの影響でリアルタイムの出音に常に変化を感じる可能性があるということです。

オーバーサンプリングや独自の処理工程があるプラグインは変化する可能性あり


特定のプラグインでは同じ設定でも差異を意図的に作り出すことは可能であると、ここでは述べておきます。ただし、これも確たる証拠、みたいなものは出せないので、ご自身でオーバーサンプリングするプラグインを使っていろいろな条件で書き出ししてみて、音を聴き比べたりしてみて下さい。

これはただの個人的な感覚の話で全く信用できない部類の憶測ですが、いくつかの独自オーバーサンプリング系のプラグイン (ただの倍数処理じゃないプラグイン) は同じ設定で同じ用に書き出したはずなのに逆相で音が打ち消し合わないことは結構ある。

なんか、違う気がする、という事実を認識できればもしかしたら変化しているかもしれません。ただし、DAW 等の簡易的な測定ではその差異を視覚的や数値的には観測出来ない場合があるということも知っておく必要があります。つまりこのような状況をオカルトと僕は呼んでいます。

いくつかのプラグインでは状況により逆相の打ち消し合いが出来ない状況で書き出しがされることは私は確認しています。ただし「逆相の打ち消し合いが成立するから視聴する音に変化はない」と結論付けるのもなかなか難しい話で、明らかに聴覚的に差異を感じるのにデータ上では打ち消し合いが成立する場合もあるということです。

逆に打ち消し合わないけど差異を全く感じない場合もあります。やっぱオカルトや。(バイナリチェックやフロート音源の詳細なチェックをすると違う箇所あるかもしれんけど)

もちろん中には毎回ランダムな値を出力するプラグインもありますので、同じデータを吐き出さない可能性があります。 特に最近は「揺らぎ」まで再現したアナログモデリングが出てきていますので、データの再現性という観点から見たら、100 % 難しい状況になりつつあります。

何にせよ超高サンプルレートで検証するのがいいのですが、面倒という一言でやってません…

複合的な外的要因


これは特定の事柄に関する事実を述べることになるのですが、コンピュータの処理能力で出力されるデータが変わる、というのは実は結構当たり前のことになります。

これはリアルタイムのディティールの話をすることになるので、保存されているデータが変わるとか言う話ではなく、出力されるデータや保存されるデータが変わる、ということです。日本語ちょっと難しいですね。もうちょっと付け加えるとメモリ上にあるデータとストレージ上にあるデータが同じかっていうと違う場合は普通にある。

そのあたりの入門として以下を読むことをおすすめします。

データの話になると「データは変わらない」という論法を持ち出す人がいますが、保存されているデータは変わりません。ただし「リアルタイムにデータの呼び出し、処理を行っている状況」では異なります。

これがコンピュータの処理能力や外的要因に関連して出力されるデータが変化する可能性は十分にあります。(保存されているデータに変化は無い、変化しない、ということを再度述べておきます。)

例えば、コンピュータの構成によってリアルタイムのゲーム描写に優劣があることは既に常識レベルの話になっています。もちろんコンピュータのベンチマークという指標もあり、コンピュータの置かれた環境で性能やベンチマークの値が変化することは既に常識ですよね。

なのになぜか、データは変わらない、という論法を持ち出します。もちろん保存されているデータはエラーチェック等もあり、不変の状況を保つのですが、ことリアルタイムの描写に関連するものは出力されるものが異なることは十分にご存知かと思います。

音声制作の場合は通常は DAW がオーバーロードによる停止をしたり、ノイズを撒き散らしたり、非常に変化に対して敏感になれるのですが、本当に些細な変化を外的要因によって受けていることに対して、かなり受け入れづらいのはなんとなく理解できます。

それでもなお「いやいや、違うベクトルの話でしょ」「GPU の話とは違くない?」と納得出来ない人もいると思いますが、例えば、セッションを丸々コピーして、PC 1 と PC 2 で同じセッションを立ち上げても「絶対同じ音が絶対鳴るはずだ」とは、少し考えづらくなるのではいでしょうか。

すこし話が飛躍するかもしれませんが、PC 1 は高性能なので、セッションのプラグインのクオリティ設定を最大にできるが、PC 2 はプラグインのクオリティ設定が上げられない、例えばオーバーサンプリングが x2 までじゃないと再生が困難な環境とを比べた場合、明らかに高性能 PC のほうが音が良さそうな気がしますよね。(もちろん、このクオリティは処理のクオリティのことで主観的な音の良さの問題は除く)

それでも計算結果に変化が出るのはおかしいと考えている方は、オンラインとオフラインの区別がついていない状況かと思います。オフラインの最終書き出しはおそらく誤差が出にくいはずです。ただ、色々外的要因が絡むので絶対、とは言い切れませんが無視していい誤差でしょう。

ただし、最近は Real-time (Online) のクオリティと Offline のクオリティを変更できるプラグインすら登場しているため、それらの書き出しにおける「誤差」を簡単に作れてしまいます。これらの要因は深く理解する必要はありませんが、知っている人は考慮すべき重要なオプションです。

保存されているテキストデータが変わらないことと、DAW でリアルタイム処理した音が変わらないというのは、残念ながら同じ土俵の話ではなく、異なる状況化であることが挙げられます。それはリアルタイムの処理構造には外的要因の影響を受ける場合があるからです。

1、2、3 の項目を読んできているのであれば、この状況は受け入れられるかと思います。DSP の専門家である人が、処理の開放云々で音に変化がある可能性があることを述べているように。それでもなお、ありえないと考える方はそのままでいいと思います。別に信じる信じないは人それぞれです。

オカルトの検証


電源でコンピュータのデータは変わらないということに関連して、少し実験をしてみました。

当たり前ですが、電源でコンピュータに保存されているデータは変化しません。

しかし、読み出しをして処理を実行し書き込みを行うと変化がある可能性は捨てきれません。

そんな些細な違いなんて気にしなくていいとは思いますので、通常は気にしなくていいです。これはただの実験であり、処理データも変わらない、という人に向けた只のアンチテーゼです。

電源は以前レビューした某フィルター製品を利用している状況と利用していない状況でホワイトノイズとピンクノイズを混ぜた音源をバウンスしたモノです。フロートの計算も行うようにフェーダも適当にイジり、CPU に負荷をかけた状態でバウンスしています。

緑がホワイトノイズで黄色がピンクノイズ。

これを Master でまとめて、リニアに歪ませるディストーションを掛けてバウンスしただけです。(周波数をもっと複雑化させるため。)

色々電源に関しては言われたけど、補足も兼ねて追記している部分もあるので、大元になっている記事を読んでみて、オカルトってマジで意味わかんねぇなって思っていただいて、キッパリ忘れることをおすすめいたします。

大元の電源フィルターの記事はこちら


電源に何も変化を加えていない状況

電源には某フィルタ製品を利用していない状況で 2 回書き出ししたデータを並べて Invert させた状況の音を表示しています。フロート音源なので、深く深く探求していくと、+ 360 dB くらい持ち上げたところで謎の信号を掘り当てました。

正直全く検討がつきませんが、Invert して打ち消し合っても、フロートの奥深くには謎の音源がいるということがわかった、ということだけがわかりました。

謎の信号を発掘!
パルスの計算誤差とか? 詳細は一切不明です。

まぁ、+360 dB しないと視覚的にも発見出来ない波形なぞ、誤差でもなんでもない。絶対に知覚できないものなのだから考えるのは辞めて、こんなものは存在しないのと一緒だと割り切るべき。


電源に某フィルタ製品を指した状態と Invert 検査

これは Gain の調整を一切行っていないが、先程の信号と新たに電源に某製品を利用した状態で書き出した信号を Invert して得られた信号のスペクトラム情報でノイズ (当たり前だけど利用したデータがノイズデータだからね。) を検出しました。ピーク値は -26 dB ほど、Total RMS は -44 dB ほど、この値は人間が音源中で感じられるダイナミクスの範囲内である。

これが電源の影響かと言われたら、他に変えてないけど差異が出たから、状況証拠から電源の影響じゃないの? って話。ただし、状況証拠だけしか判断材料は無いので電源の影響である、とは言い切れない。

特に高周波に顕著にノイズがいる
特に法則性や規則性は見つけられなかった。

どういう原理なのかは説明が難しいというか、オカルトなので、理由は明確には不明だが処理に影響を与えるナニカが存在するのでしょう。Invert の検証は音量差を最も顕著に検知できるため、このノイズの濃い部分が変化が大きいということ。

もちろん、私の環境の話で、私は外部に SSD ストレージを持っていて Thunderbolt でつながっています。そこも電源は共有でその外部 SSD から今回バウンスしたホワイトノイズとピンクノイズを引っ張って来ているのでもしかすると SSD ストレージや読み出し転送にに何かしら影響を与えた可能性もあります。

可能性の話をしたらキリがない状況で僕たちは制作しているので、通常は無視でいいと思います。ただし、何かしらの要因によって DAW が出力する音は変わる可能性があるのは疑いようもない事実です。

オーディオカルト


リアルタイムの描画とオンラインのデータや完全にストレージに保存されているデータを同一視してはいけないという話だけしか、この記事ではわからないが、それでいいと思います。重要なのはデータは変わらないということじゃなくて、盲目的にならず、自分で確かめてみること。

最初は知識がないから難しいし、間違った検証方法をやってしまいがちだけど、ちまちました作業を繰り返しやれば変化の知覚はいずれできると思います。

オーディオのオカルトはネタというか傍から見ている分にはいいが、当事者になると本当に厄介な部分であるな〜っというお話。

ではまた。

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  • 書いた人: Naruki
    レコーディングエンジニア
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