エンジニア視点のギターの音作り

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エンジニア視点のギターの音作り

エンジニア視点のギターの音作り 

今回は、エンジニア視点でのギターの音作り、という記事をを書いていきたいと思います。

これは、エンジニアが「音をどのように処理しているか」を書いている内容になるので、元々サンプルのギターの音が気に入らない、という視点で記事を読むと理解不能な内容が書いてあると思います。

これはあくまで、私自身がどこに視点をおいてギターの音を処理しているか、ということを文字起こししたような記事ですので、ギター単体の音を聞いてもしっくりこない場合があるでしょう。

あくまで、ミックス段階でのギターの音作りのためにエンジニアはどんな手段を講じているか、を述べている記事となります。

あくまで、この内容は毎度ながら言っていますが、「困ったときのおまじない」程度の知識の共有です。これを見て俺は絶対に同じ処理をしないと思うのも自由ですし、少しやってみて、やっぱねーわって思うのも最高に情報の使い方として正しいと思います。

ライン録り


ラインの録音って難しいんですが、思いっきり弾いたときに -6 dBFS 振れるくらいでレコーディングすればいいと思います。

入力でコンプかけることも非常にいいと思います。dBX160A とかギターの信号に個人的には合っていると思うので利用することはたまにあります。

dBX160X や XL はローがかっこよくなるのでベースやスネアに良いと思います。

ライン録りした音はこのような音になりました。平凡です。録音された生の音でプロとアマチュアで劇的な差は出ないと思います。

アンプ前コンプ


アンプに入力する前にコンプレッサーを通過します。

これは気分の問題レベルといわれればそれくらいかもしれませんが、潰した分だけ持ち上げて、少しギターの音が元気に聞こえます。若干太く、弦が新しくなったような、ハリのある音になったような気がします。あくまで気がするです。

なんとも言い難いコンプの設定。

上記の設定はかなり間抜けな設定かもしれません。実践では、Attack は 40ms 程度、リリースは 90ms 程度と半分に設定したほうがいいかもしれません。リダクションも最大 6 dB くらいあってもいいと思います。

アンプに入れる


今回はアメリカで人気の出てきた Fortin のアンプを使ってみたいという理由で Neural DSP のアンプシミュレータを使ってみました。

正直ギターのラインの音でアンプ後の音は決まるので、あまりヘッドで音の差は出にくいです。出にくいだけで出ないわけではないことに注意です。ただし、ラインの音でアンプ後の音の傾向は決まるのでラインをしっかり録りましょう。

入力には TS 808 系の HEXDRUVE と謎の GRIND Stomp を利用
個人的なアンプセッティングです。Bass 4, Mid 6, Treble 6 というのか個人的な黄金セッティング。Gain と Master は出音調整ですが、なるべく低い数値を心がける。
IR セッティングは初期のまま。プリセットが豊富なのでプリセットから微妙性すればいいのでは。

アンプ後の音も非常に平凡。ギターは後処理が上手くいくか行かないか、かもしれません。

ちなみにアンプの回路を少し勉強すると Bass、Mid、Treble の変化をもう少し体系的に制御できます。

参考になるのがこのページのアンプ回路の挙動図。http://hayashimasaki.net/tubebook/tubebook18.html

Bass と Mid と Treble で EQ の挙動はだいたいこの外部ページの図の挙動となる。これが基本形の Fender 回路です。

ギターはドンシャリな音になるのが常で、800 Hz あたりを EQ で処理することで傾向が変わるのがわかっていただければと思う。

引用: http://hayashimasaki.net/tubebook/tubebook18.html

アンプによってこの特定は異なりますが、だいたい世の中のアンプはこの Fender 回路がベースにあることを念頭において、EQ のポイントやギターの音作りに役立てるといいでしょう。

アンプ後のコンプ


ギターの後に Opto 系のコンプをかけるのはもはや定番になっている。

ここでは単純に深く掛けて音量を揃える意味でつかっているのですが、LA 系のコンプは真空管やトランス系の歪がまた加わることにより音が若干変化する。

それを聞き分けてほしい。

ここではトランス系の LA を選択。Tube 系だと汚れすぎてしまう間があったから。

よく聞くギターサウンドに近づいてきた。音を潰すことで中域にいた嫌な歪が解消された。ただし、まだ嫌な歪はいるので、EQ で整えていく。

例えば Distressor の 10:1 は Opto なので、個人的には非常にギターに合うコンプセッティングだと思います。

コンプ後の (Pre) EQ


コンプの後にいらない場所を削っていく。これをしなくてもいいとは思うけど、楽曲によってはギターがメインであるので、ここでは少し大げさに EQ をしようと思う。

あまり褒められた EQ ではないことに注意

ここでは コンプでいやらしい歪が持ち上がった中域あたりに耳を集中して、800 Hz あたりと 2250 Hz あたりを -2 dB 抑えている。また、持ち上がった 7 kHz 以上を ProQ 3 独特の Q スタイルで -4 dB している。

別に EQ じゃなくて、ここでは Pro MB や Dynamic EQ を使って似たような帯域を抑える処理をしていいと思う。もう少し考えて Dynamic EQ も併用すればよかったかなと反省もしている。

些細な違いだが、キャビネット特性の一定周波数音が抑えられるので、音程感が若干増す。ただし、本当に些細な違いでしか無い。

おそらくこのギターのキャビネットは V30 だと思われます (公式的には公表していないが音で V30 っぽいのがわかる)。V30 は Celestion が公式に Frequency Response を公表しているので、キャビネット特性に合わせて EQ するともう少しポイントがわかりやすくなります。

引用: https://celestion.com/product/vintage-30/

今回は別に FFT を見てはいないものの、2.25 kHz と 3.15 kHz あたりを EQ で抑えるといいのではないかとわかる。そのうち 2.25 kHz は耳で探して -2 dB している。ポイントがわからないときは資料を参考にすることは悪いことではないでしょう。

EQ 後の Post EQ


意味がわからないかもしれないが、EQ のあとに EQ をする。

ここでは Smart EQ を使って自分のギターの音を分析してもらって補正してもらった。

やはり、中域が足りないということで、中域を持ち上げられる。しかし、これは細かなバンド EQ になるため、嫌な歪があるような中域は抑えられるように EQ ができている。

削った 800 Hz ではなく、200 〜 600 Hz あたりを補正されている。

ほんの僅かだが、重心が下がった。ほぼほぼ完成に近い。

仕上げ


これは行う必要性はあまり感じないが、今回はギターをメインでということで、以下の処理を行った。

Soothe 2、高性能なディエッサーだと思えばいい。本家はサプレッサーという名前をつけている通りダイナミック消音プロセッサーが意味合いとしては近い。

音を聞いて違いを感じてほしい。

チリチリした歪をもうすこし抑えて、ギターの音をなめらかに耳障り良くした。

通常は必要ないかもしれませんが、ギターが主役で聴き疲れしない配慮に近い音作りです。

まとめ


最後にお好みで Limiter を利用すれば完成です。

今回の内容も同業者に怒られそうなレベルの話をしてしまいました。

ここまでギターの音作りに対してポイントを絞って解説しているのはちょっとやりすぎ感ありますが、全体のレベル向上に繋がるのであれば、試して見ください。

あくまで、この音作りのポイントは、困ったときのおまじない程度です。同じ EQ ポイントを同じだけ利用しても無駄です。

素材にあった EQ ポイント、コンプレッサーセッティングを心がけてください。内容をコピーしても仕方ありません。あくまで処理したい考え方とアプローチの方法が重要で、処理自体は重要ではありません。


曲提供

Yuto https://twitter.com/yutothists2

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  • 書いた人: Naruki
    レコーディングエンジニア
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