オーディオインターフェイスを理解する【第三部】市場を見て知る

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オーディオインターフェイスを理解する【第三部】市場を見て知る

オーディオインターフェイスを理解する【第三部】市場を見て知る 

第一部 では、インターフェイスは設計上、殆ど同じ音がするはずだよ、と説明しました。同じ値段帯ではどんぐりの背くらべ状態です。第二部 で、マイクプリとクロックが間接的に入れ替えすることができると言いました。つまり、インターフェイスの音はマイクプリとクロック性能でほぼ決まる、と言っていいです。

(もちろんメーカーそれぞれ詳細な設計が違うので音の傾向が出ますが、結局最後は個人的な使いやすさとか、気に入った音がでるとか、他人には理解出来ない理由でチョイスします。)

ただし、マイクプリをライン入力しても、結局アナログ設計と AD/DA はクロックの性能に足を引っ張られ、外部クロックを入力をしたとしても、内部クロックの補正ができるだけで結局内部クロックに足を引っ張られます。

この三部目では、インターフェイス市場を知っていただこうかなと思います。もちろん、皆さんが手が届く範囲の話で勧めます。

マイクプリ押しなインターフェイスメーカー


よく知られるマイクプリメーカーってどこでしょうか。NEVE、SSL、API でしょうか。しかし、ぶっちゃけると現行品はみんなオリジナルより人気がありません。NEVE 1073 のオリジナルは手に入らないでしょう。SSL もEQ は人気ですが、マイクプリを単品でってあまり聞きません。API もマイクプリより 550 とか 560 のほうが人気な気がします。

じゃあ、現行で一番いいマイクプリ作ってそうなメーカーってどこ? ということになります。どこでしょう… AMS NEVE の現行品はオールドとは違います。じゃあ Rupert Neve Design? 確かに NEVE のニーヴさんが現役で設計してます。Vintech Audio? BAE? マイクプリ単体で名が挙がるメーカーは面白いことにすべて NEVE の模倣メーカーです。

で、手頃で Neve って聞いちゃうと、Focusrite の名前が大体、どこでも聞こえてきます。そうだ、Focusrite のマイクプリインターフェイスなら音がいいじゃん!ってなりそう。実際に、価格と性能を見れば、素晴らしい製品を出している。だが、ニーヴさんは現行の Focusrite とは一切関係は無い。PreSonus のマイクプリのいいと評判を聞いたりする。結局どんぐりの背くらべだ。クロックについては Focusrite は製品的プッシュはないが、PreSonus はジッターについて言及している…ほぉ。PreSonus いいんじゃない?

国内でも現役で稼働中の 72ch Focusrite Conlose
現行の Focusrite とは違うので注意。

クロック押しなインターフェイスメーカー


マスタークロックで有名なメーカーはどこなんでしょうか。Google で検索してもビデオシンク用だったり Hi-fi オーディオ向けばかりでよくわかりません。メーカーでクロックについて言及しているメーカーには RME がありました。

10万円以下、ということなら素晴らしい選択肢。持ち運び用かプリプロ用に。
音質がいいかと言われれば普通で今の DTMer を満足させるには少し物足りない。

https://synthax.jp/steadyclock.html

クロックについて技術的な知識がない人にとってはなんのこっちゃよくわかりません。流石にもうちょっとわかりやすく説明してほしかった…ジッターはなくせば音は理論的にアナログに近づきますし、システムの安定度 (シンクずれのノイズがなくなったり) が増します。現行では一番オススメできるメーカー。

https://synthax.jp/story-03.html

で、面白いことにマイクプリのチップに関して Ti の PGA 2500 という型番まで赤裸々に公開しています。つまりハイエンドマイクプリはこのチップだってネタバラシしているようなもんです。究極、インターフェイスは私の理論からするに、クロックの差が質を決める といってもいい状況まで来ました。

あるエンジニアさんが、「電子ピアノを弾いた時一番音が良かったのが CASIO だった。あ、CASIO って時計メーカーじゃん…って気づいた時、繋がった。」というお話をしました。クロックの大切さは分かる人にはわかるようです。

PreSonus は個人的に音を聞いたことがないので聞いてみたい。

で、ここで Apollo についても少しだけ言及しておかないと、誰かに怒られそうなので言及しておこう。

Apollo もクロックは低ジッターで AD/DA も最高グレードだぜ! Unison™ テクノロジーでマイクプリもいい音だぜ! UAD-2 もプロセッシングできちゃうぜ! っていう感じです。素晴らしい。スペックだけ見れば完璧だ。

元ユーザーなんですが、ただ、でかい。非常にでかくて熱い。という理由で買い替えてしまったのでこれ以上は何も言えない!ただ、買い戻したい欲がかなりあります。やっぱり複数インターフェイスもっていると使い分けが楽しい。

音がいいクロックとは?


いろいろ話を引っ張ってきましたが、オーディオマスタークロック のメーカーで名前が上がるのは Antelope Audio というメーカーです。

面白いことに Antelope Audio はクロックが何故、音が良くなるのかを解説している珍しいメーカーです。

https://www.phileweb.com/interview/article/201105/12/97.html

https://jp.antelopeaudio.com/support/antelope-clocking/

Antelope Audio はオーディオクロックメーカーにもかかわらず、オーディオインターフェイスメーカーでもあります。インターフェイス内に単体クロックと同じ者が搭載されています。ついでにマイクプリも設計販売してます。

世界初のフルディスクリートプリアンプ搭載インターフェイス、Discrete 8

お世辞抜きで、このデバイスのプリアンプは非常に良い音がしました。クロックも実際には性能がいいと思います。ただし Antelope Audio のクロックはステレオイメージがかなり変わります。またフォーカス具合が極端なのでステレオミックスの穴みたいなところができやすく、全体的なまとまり感がほしい人は嫌いかもしれません。クロック技術の調整を最後は人間がやっているそうなので、派手という印象。ただ現状、いいクロックといいマイクプリを搭載したインターフェイス事実上この製品のみ

ついでに UAD-2 の Unison™ みたいなプリアンプモデリングが FPGA FX で可能です。モデリングプラグインって総じて、効果あんのか? ってくらい効果が薄いものもあるのですが、FPGA FX は本当に音が変わるので、UAD-2 と併用して重宝しています。これも UAD-2 みたいなグレードがあるので、いいヤツ選ぶと全チャンネル分エフェクト使える。UAD-2 と違って、最初からエフェクト使えるのでそこはありがたい。ただ、DSP じゃないので扱いが難しいですし、日本語の情報全然ないし、初心者向けじゃないのでいきなりはお薦めはできない。

究極、インターフェイスは質とかじゃない


最終的にインターフェイスはぶっちゃけ買った後にどうやって自分の制作と向き合うか、です。あるエンジニアさんは Macbook Pro 直挿しでミックスしてます。つまりある程度のレベルになると、インターフェイスは関係ありません。

大体あのスタジオだと、こう聞こえるんだよなぁ〜って考えてミックスしたりします。本当です。嘘じゃないです。脳内でスタジオ音質を再現できます。

私はある時期、UR22 のあの小さいインターフェイスで CM 音声の制作をせざる負えない状況にいました。それでも音悪いね、なんて言われたことありません。ましてや、慣れてくるとそいつでいいものが出来上がります。デジタルデータなので扱い方次第です。再生環境はみんな違うので、結局、最終的には自分の腕です。

第三部 完

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  • 書いた人: Naruki
    レコーディング、ミキシングエンジニア
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